女性用下着盗んだ男、コート内のブラジャーに「これは、違う!」
何が違うのかはわかりませんが、制止を聞かずに私たちを引きずり歩いて抵抗したため、しびれを切らしたリョウくんが男の肩口を掴んで路上に転がしました。何をどうしたのか、あっという間に男を仰向けにすると、その上に跨って腕を抑えています。
投げられた拍子にビジネスバッグを離したので、それを拾い上げてから、リョウくんの下で身を捩る男に聞きました。
「この中に隠した女性モノの下着、ちゃんと精算してもらえますか?」
「ごめん、違うんだ。お金は払うから、許してくれ!」
違うというのが、この男の口癖のようですが、何が違うのかはまるでわかりません。ようやくにあきらめて、逃げる姿勢を失くした男を立たせると、はだけたロングコートの中にピンクのブラジャーがみえました。
「あなた、バッグだけじゃなく、コートの中にもブラジャー隠していたの?」
「これは、違う!」
どうにも話にならないので、同行をリョウくんに任せて事務所まで連れていき、ビジネスバッグに隠した被害品を出させて身分確認を進めます。この日の被害は、計6点、合計で9,000円ほど。差し出された国民健康保険証によれば、男は46歳で、いまは無職だと話しています。場慣れしているのか、まるで反省の見えない態度の男に、少しイラついた様子のリョウくんが言いました。
女性用下着万引き犯、「こんなに必要なの?」の質問には……
「買えるだけの、お金は持っているよね?」
「いや、全然ない」
「これは、どうするつもりで? こんなに必要なの?」
「…………」
その後、警察に引き渡された男は、いくつかの犯歴が認められたようで、送致されることになりました。担当の警察官によると、女性の下着をつける趣味があるらしく、買うのが恥ずかしくて盗んだと話していたそうです。もともとお金を持ってきていなかったことから、その言い訳を聞いて「違う」と言ってやりたくなりました。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
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配信: サイゾーウーマン
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