●子どものココロの成長に影を落とす「〇〇な子なんだから」という叱り方
みずがきさんによると、しつけのつもりで放ったひと言が、子どもの心を傷つけてしまうことが少なくないそう。
「たとえば、お子さんが片付けをしなかったり、寝坊してしまったりするときに、『ダメな子なんだから』とか『だらしない子なんだから』という言葉を使うことがあるかもしれません。お母さんにしてみれば、しつけとして言っているだけのことですが、それをセルフイメージとして捉えてしまう子どももいます。『自分はダメな人間なんだ』と思い、お母さんに嫌われたと感じやすいです。なかには、性格的に聞き流せる子どもはいますが、多くの子どもにとって親は神様みたいな存在です。親が思う以上に親の言葉を重く受け止めてしまうんです。そのため、どうしてもホメ言葉よりも叱られた言葉の方を覚えているようです」(みずがきさん、以下同)
子どもの頃のセルフイメージは、特にコンプレックスの強い思春期以降に引きずりやすいそうです。
「残念なことに、大人になったときに自分に自信が持てなくなってしまう人が多いのです。たとえば、恋愛をしたときに相手に告白できない、結婚したいと思ったときに婚活に行く決断ができない、仕事を任せられても恐くて逃げてしまうということがあります。カウンセリングで自信がない理由を探っていくと、子どもの頃から親に『ダメな子なんだから』とか『だらしない子なんだから』と人としての自分を評価してもらえなかったと感じている人が多いのです。直した方がいい振る舞いそのものではなく、『自分の性質に対してお母さんは許せないと思っているんだ』と感じる子どももいるので、要注意なネガティブワードだと言えると思います」
●父親の悪口を言うのもNG
また、父親に対する悪口も、子どもの人格を傷つけているのだとか。
「お父さんの性格を否定するような悪口、たとえば『あの人は本当に嘘つき』とか『甲斐性がない』ということを子どもの前で言わないでほしいです。一緒に生活していれば、愚痴や文句のひとつも言いたくなるんですが、父親を情けない男のように言われるのは、子どもにとってはとても辛いことなんです。なぜなら、お父さんの血も半分受け継いでいるから。お母さんからしてみれば、子どもを否定しているつもりはまったくなく、子どもに味方になってほしいし、理解してもらいたいと思うところですが、気づかずに子どもの人格を否定することになります」
知らず知らずのうちに、子どもにこうしたネガティブワードを投げかけていませんか? 子どものココロをダークサイドに突き落とさないためにも、発する言葉の影響力にはくれぐれも気をつけた方が良さそうです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)