子どもをダークサイドに追いやる「ネガティブワード」とは?

第1回 子どもに伝染? ママのコンプレックス
「言葉は心の使い」ということわざがありますが、言葉というのは、多かれ少なかれ人に影響を及ぼすものです。とくに、子どもにとって、一番身近な親が発する言葉は心に強く響きます。

生活をともにしていると、子どもに好影響を与える言葉だけでなく、ときにマイナスになってしまう言葉を発してしまうこともあるかもしれません。親としては、自分の言葉で子供の心にダメージを残すのは避けたいものです。

そこで、心理カウンセラーのみずがきひろみさんに、子どもをダークサイドに落としてしまう「ネガティブワード」を教えてもらいました。

●子どものココロの成長に影を落とす「〇〇な子なんだから」という叱り方

みずがきさんによると、しつけのつもりで放ったひと言が、子どもの心を傷つけてしまうことが少なくないそう。

「たとえば、お子さんが片付けをしなかったり、寝坊してしまったりするときに、『ダメな子なんだから』とか『だらしない子なんだから』という言葉を使うことがあるかもしれません。お母さんにしてみれば、しつけとして言っているだけのことですが、それをセルフイメージとして捉えてしまう子どももいます。『自分はダメな人間なんだ』と思い、お母さんに嫌われたと感じやすいです。なかには、性格的に聞き流せる子どもはいますが、多くの子どもにとって親は神様みたいな存在です。親が思う以上に親の言葉を重く受け止めてしまうんです。そのため、どうしてもホメ言葉よりも叱られた言葉の方を覚えているようです」(みずがきさん、以下同)

子どもの頃のセルフイメージは、特にコンプレックスの強い思春期以降に引きずりやすいそうです。

「残念なことに、大人になったときに自分に自信が持てなくなってしまう人が多いのです。たとえば、恋愛をしたときに相手に告白できない、結婚したいと思ったときに婚活に行く決断ができない、仕事を任せられても恐くて逃げてしまうということがあります。カウンセリングで自信がない理由を探っていくと、子どもの頃から親に『ダメな子なんだから』とか『だらしない子なんだから』と人としての自分を評価してもらえなかったと感じている人が多いのです。直した方がいい振る舞いそのものではなく、『自分の性質に対してお母さんは許せないと思っているんだ』と感じる子どももいるので、要注意なネガティブワードだと言えると思います」

親のコンプレックス

●父親の悪口を言うのもNG

また、父親に対する悪口も、子どもの人格を傷つけているのだとか。

「お父さんの性格を否定するような悪口、たとえば『あの人は本当に嘘つき』とか『甲斐性がない』ということを子どもの前で言わないでほしいです。一緒に生活していれば、愚痴や文句のひとつも言いたくなるんですが、父親を情けない男のように言われるのは、子どもにとってはとても辛いことなんです。なぜなら、お父さんの血も半分受け継いでいるから。お母さんからしてみれば、子どもを否定しているつもりはまったくなく、子どもに味方になってほしいし、理解してもらいたいと思うところですが、気づかずに子どもの人格を否定することになります」

知らず知らずのうちに、子どもにこうしたネガティブワードを投げかけていませんか? 子どものココロをダークサイドに突き落とさないためにも、発する言葉の影響力にはくれぐれも気をつけた方が良さそうです。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

みずがきひろみ
みずがきひろみ
カウンセリングサービス 心理カウンセラー
大学卒業後、金融機関で投資アナリストとして20余年働いた後、2008年から現職。夫婦関係、母子関係、職場の人間関係などの対人関係の問題を扱うカウンセリングや、自分らしく人生を豊かに生きるための講座やワークショップを開催。
大学卒業後、金融機関で投資アナリストとして20余年働いた後、2008年から現職。夫婦関係、母子関係、職場の人間関係などの対人関係の問題を扱うカウンセリングや、自分らしく人生を豊かに生きるための講座やワークショップを開催。

子育てに行き詰まったときに読みたい

イライラしない本 ネガティブ感情の整理法
イライラしない本 ネガティブ感情の整理法
齋藤孝
842円
周囲と衝突せず、誰も傷つけず、誰にも傷つけられず、怒りも焦りも不安も持たず、心穏やかに過ごしたい。そう願いながらも、些細なことで感情的になるのも、また人間。何が心を乱すのかーーイラついた理由を書き出して可視化する、他人に愚痴って吐き出す、雑事・雑用に没頭する、心を鎮める書や言葉を予め持っておくなど、ネガティブ感情の元凶を繙きながらそのコントロール方法を具体的に提示する。感情整理のノウハウ満載。
周囲と衝突せず、誰も傷つけず、誰にも傷つけられず、怒りも焦りも不安も持たず、心穏やかに過ごしたい。そう願いながらも、些細なことで感情的になるのも、また人間。何が心を乱すのかーーイラついた理由を書き出して可視化する、他人に愚痴って吐き出す、雑事・雑用に没頭する、心を鎮める書や言葉を予め持っておくなど、ネガティブ感情の元凶を繙きながらそのコントロール方法を具体的に提示する。感情整理のノウハウ満載。
子どもが変わる「育て言葉」
子どもが変わる「育て言葉」
辰巳渚
1,296円
子どもの心に響き、成長を促す親のひと言、それが「育て言葉」です。親の温かい言葉は、子どもの一生の道しるべとなります。どんな言葉が「育て言葉」になるのかを、100万部のベストセラー『「捨てる!」技術』を著した辰巳渚さんが、一冊の本にまとめました。日常の中で、親がどのように子どもに声をかければよいかを書いています。
子どもの心に響き、成長を促す親のひと言、それが「育て言葉」です。親の温かい言葉は、子どもの一生の道しるべとなります。どんな言葉が「育て言葉」になるのかを、100万部のベストセラー『「捨てる!」技術』を著した辰巳渚さんが、一冊の本にまとめました。日常の中で、親がどのように子どもに声をかければよいかを書いています。
子どもに自信をつける言葉傷つける言葉
子どもに自信をつける言葉傷つける言葉
加藤諦三
709円
何気ない親の「ひと言」で子どもは変わっていく。心の強い子を育てる本。
何気ない親の「ひと言」で子どもは変わっていく。心の強い子を育てる本。