有給休暇を残したまま退職するとどうなる?弁護士が解説

有給休暇を残したまま退職するとどうなる?弁護士が解説

、解雇された場合、残ったままの有給休暇はどうなるのか?



合意退職や自主退職など、退職の仕方はいくつかありますが、会社から解雇されたというような場合もあるでしょう。

解雇される場合、

  • 将来の解雇を予告されるか(労働基準法上、原則として少なくとも30日前に解雇の予告をしなければならないとされています。)
  • 解雇予告手当を支払うことで即日解雇されるか

どちらかになります。

解雇の予告がされた場合であれば、そこから解雇日まで有給休暇を消化してもらうように会社へ相談することができます。

しかし、即日解雇された場合には有給休暇を消化することは難しくなります。

即日解雇の場合は、通知された日に雇用契約は終了し、その後に有給休暇に関する請求をしても、会社には応じる義務がありません。

6、残った有給休暇の消化を会社に拒否された場合にできること



退職前に残ったままの有給休暇を消化したい旨を会社に伝えたものの、会社から有給休暇の消化を拒否されてしまったというようなケースもあるでしょう。

もし会社から有給休暇の消化を拒否された場合には、どのように対処すべきなのでしょうか?

(1)会社側は原則、有給休暇の取得を拒否できない

有給休暇の取得は法律によって労働者に与えられた権利であり、会社は原則的に有給休暇を拒否することはできません。

もし合理的な理由もなく有給休暇を拒否した場合には、労働基準法第39条に違反することになり、同法119条1号によって、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになっています。

そのため、会社に有給休暇の取得を拒否された場合には、違法であると主張することができるのです。

ただし、会社には有給休暇に対して「時季変更権」という権利が法律で認められています。

時季変更権とは、労働者が有給休暇を取得することで事業の正常な運営を妨げる場合には、有給休暇を与える日を変更することができるという権利です。

事業の繁忙期に有給休暇を取得しようとすれば、会社側は時季変更権を行使する可能性があります。

ただし、時季変更権は有給休暇の取得時期を変更する権利であり、有給休暇の使用を拒否する権利ではありません。

(2)労働組合や労働基準監督署に相談する

残った有給休暇の消化を会社に拒否された場合には、ご自身の加入する労働組合や労働基準監督署に相談しましょう。

労働組合に相談することで、有給休暇の消化について掛け合ってもらうことが期待できます。

また、労働基準監督署に相談して労働基準法違反であることが認められた場合には、会社への指導や勧告を行ってもらえます。

労働組合や労働基準監督署へ相談する場合には、会社の違法行為を立証するための証拠を集めるようにしましょう。

(3)弁護士に相談する

労働組合や労働基準監督署に相談しても、会社とのトラブル解決にはならないこともあります。

残ったままの有給休暇の消化に関して会社とトラブルに発展してしまったという場合には、弁護士に相談することも検討してみてください。

弁護士であれば、代理人になって会社とのトラブル解決に向けて交渉を行うことができます。

裁判や労働審判に発展する場合にも、そのまま弁護士に依頼することが可能です。

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