PTAの問題児!? 「LINEやってません」というママのせいで、会議がストップ……委員長の苦悩

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。


写真ACより

 5月といえば、PTA総会が開かれ、役員(執行部的な役割を果たす人)や委員(学年別に選ばれる各委員会に属する人)の引継ぎが行われる時期だ。最初の会では、新規の役員や委員たちが顔を合わせ、今後の活動内容や活動頻度、連絡方法などを確認し合う。やむを得ない用事で欠席する場合は、委員会の委員長や副委員長などに選ばれてしまうこともある。

 幼稚園や保育園などでも、小規模な委員会や役員活動は存在しているが、その煩雑さや作業量の多さにおいては、小学校のPTAは群を抜いているといえる。今回は、そんなPTA活動中、“暗黙のルール”が通用しないママ友に悩まされたという、ある小学生のお母さんの話を取り上げる。

PTAは「子ども1人につき1回」、コロナ禍で委員は高倍率に?

 都内で小5と小3の女の子を育児中の恵美さん(仮名・38歳)は、今年度のPTA委員に選出された。

「うちの小学校は、学校から配られるプリントに、『委員になりたい人は、希望の委員会名を書いて出す』というシステム。コロナ禍前は、保護者会で委員選出のくじ引きをしていた時期もあったそうですが、現在は行事が減ったのもあって、『今のうちに面倒な委員をやってしまいたい』という人が多く、学校側がまず事前調査を行い、やりたい人の中から平等に抽選で選ばれる方式に変わりました」

 恵美さんの子どもが通っている小学校は、子ども1人に対し、在学中に1回は役員か委員をやらなければならないというルール。恵美さんの場合は、子どもが2人いるので、最低でも2回は役員もしくは委員をやらなければならない。

「ずっと後回しにしてきたのですが、このままだと、上の娘が小6の時に、かなり忙しいと聞く『卒業対策委員(謝恩会や卒業記念品の準備を担う)』に任命されるかもしれないので、今年は『学年委員会(学年単位で行われる行事のサポート、保護者懇親会などの企画・運営を行う)』に希望を出しました。うちの地域は、2人に1人は中学受験を行う土地柄なので、高学年でのPTA活動を避ける親御さんが多い。そのため小3の娘の学年では、委員へ立候補者が多く、倍率もいつもより高かったと聞きました。私は幸い、小5の娘のクラスの学年委員に選ばれたのですが、なんと学年委員会の中での役員決めで、委員長に選ばれてしまったんです」

PTAの会議がストップ! あるママが「LINEはやっていない」と言い出して……

 恵美さんは保険会社のカスタマーセンターに勤務している。パートタイマーで基本的には定時に退社できるが、平日に委員会の会議や作業が発生すると、仕事を早退しなければならないという。委員長は学年委員会以外にも、PTA総会などにも出席しなければならないため負担が多いそうだ。

「学校行事などを取材する広報委員会や、PTA役員決めを行う推薦委員会など、それぞれの委員会によって会議の頻度はまちまちみたいですが、学年委員会は、専業主婦が多いせいか、平日の日中に会議を希望する人が多い。そのため、私は仕事を早退しなければいけない可能性が出てきて、ここに総会なども加わると、月に2~3回は、小学校に行くことになるんですよね……」

 そんな中、恵美さんの頭を最も悩ませたのが、委員をまとめるための“連絡方法”だという。

「学年委員は、それぞれのクラスで1名ずつ選ばれているので、全体では18人。会議などにはPTA役員が加わるので総勢20名前後になります。メンバー全員の会議の出欠や、議事録の共有などはできればLINEでグループチャットを作ってそこで共有したいのに、メンバーの中に『LINEはやっていません』というママさんがいるんです」

 LINEのダウンロードは任意であるため、強制はできなかったという恵美さん。

「LINEを利用していないママさんとの連絡方法をどうするかで、会議が一時ストップしました。結局、『メールならいい』ということで、委員長の私から、LINEをやっていないママさんに、議事録や次回の予定なども送ることになったんですが、私の手間が増えているっていう感覚が、相手にはないみたいなんですよね……」

 恵美さんが、この一件を仲の良いママ友たちに愚痴ったところ、「今時、PTAで『LINEやってません』なんて通用しない」「それって暗黙のルールでしょ? PTAの問題児だね」、さらには「本当はLINEをやっているけど、『やっていない』と言った可能性もある」などと言われたそうだ。

「確かにあのママさん、スマホ自体は持っていたし、しかもちらちらチェックしている様子でしたから、『本当はLINEをやってるんじゃない?』と少し疑ってしまったところはあります。でも、それを問いただすわけにはいかないじゃないですか。まぁそれは別として、私は仕事を早退しなければいけない負担に加え、細々した連絡が増えているわけで、もう少しこちらに歩み寄ってくれてもいいのにな、とは思いますね」

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