事実婚のメリットとデメリット|幸せな事実婚をする10のポイント

事実婚のメリットとデメリット|幸せな事実婚をする10のポイント

5、上手に事実婚をするための10のポイント

ここからは、事実婚を選ぶにあたって押さえておきたいポイントをまとめてご紹介していきます。

あとから「こんなはずじゃなかったのに…」と後悔することにならないためにも、これからピックアップする項目については2人でよく話し合って検討しておきましょう。

(1)相続関係類似の関係を作る

すでにお伝えしたように、事実婚では夫・妻の法定相続人になれないところが大きなデメリットのひとつです。

遺産をパートナーへ譲るためには、次のような方法で対策を行う必要があります。

①生命保険

死亡時の保険金は、内縁の夫・妻でも受取人に指定することができます。

ただし、会社によって多少条件が異なることもあるため、詳細は個別に問い合わせを行ってみてください。

②遺言

事実婚カップルが相手に財産を遺す方法として、もうひとつ有効なのが遺言書を作成しておくことです。

この遺言書は法律で定められた形式に沿って作成する必要がありますので、実際の作成時には弁護士に相談を行いましょう。

③生前贈与

生前贈与とは、本人がまだ生きている間に財産を相手へ譲ることを指します。

年間110万円までなら贈与税もかからない(贈与は相続ではないのでもちろん相続税も無縁です)ため、計画的に贈与を行っていきましょう。

(2)遺産をつぐ時に税金がかからないように工夫する

事実婚は相続税の配偶者税額軽減を受けることができないため、先ほどご紹介した相続の方法のうち、生命保険と遺言では届出婚の場合に比べてより多くの税金を負担する必要があります。

生前贈与なら年間110万円までは非課税で贈与することができますが、それでは追いつかないというような場合、効果的な節税対策を税理士に相談してみるのもおすすめです。

(3)父親に子どもの扶養義務を作る

事実婚夫婦の間に生まれた子どもは、そのままでは母親としか法的な親子関係がなく、父親と法的な親子になるためには認知が必要です。

子どもを認知することで父親にも扶養義務が発生し、名実ともに夫婦で協力して子育てをしていくことができます。

(4)配偶者控除制度を利用せずに生きていく

所得税などの配偶者控除を受けることができない事実婚では、夫婦それぞれが経済的に自立した状態を目指したほうが豊かに生活することができます。

それによって、配偶者控除制度が利用できないデメリットを自然と解消することにもつながるでしょう。

(5)住民票で世帯を合併する

婚姻届を提出しない事実婚ですが、代わりに住民票で2人を同一世帯とすることで、事実上の家族になることはできます。

その場合、続柄は「夫(世帯主)」「妻(未届)」または「妻(世帯主)」「夫(未届)」とするのが基本です。

(6)マイホームの名義は

届出婚の夫婦であれば、マイホームを購入するときに共有名義でローンを組むことが可能です。

しかし、事実婚では夫婦の共有名義が認められるケースは非常に少なく、実際のところ夫か妻どちらかの単独名義でローンを組まざるを得ません。

たとえ返済を事実婚夫婦で分担していたとしても、名義がどちらか一方の場合、事実婚の解消やパートナーの死亡の際などにはトラブルになりやすい側面もあります。

たとえば夫名義のローンの支払いを実際のところ妻も負担しているようなケースでは、妻が支払った分を夫に貸したお金として「金銭消費貸借契約書」を作成しておくなど、何かしらの対策を打っておいたほうが安心でしょう。

(7)子どもの名字は

事実婚夫婦に子どもが生まれると、その子どもの名字は一旦母親の姓になります。

しかし、家庭裁判所に申し出ることで後から父親の姓に変更することも可能です。

子どもがある程度大きくなってから、自分で好きなほうを選ばせようと考えている夫婦も少なくないようです。

(8)夫側の職場の家族制度を確認

事実婚を届出婚の夫婦と同じように扱うかどうかは、職場によって方針が異なります。

中には事実婚だと家族手当の対象にならなかったり、家族用の社宅に入れなかったりすることもあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

(9)事実婚契約書を公正証書に

事実婚をするにあたって夫婦で話し合った内容は、事実婚契約書として公正証書にしておくのがおすすめです。

公正証書は公証役場で作成される法的な信頼の高い書類のことで、これを作成しておくことで家族として手術など医療上の判断を行う際や、住宅ローンを組む際などにも迅速に手続きを進めやすくなります。

作成の際には専門家への依頼が必要ですが、事実婚のデメリットを解消するためにもぜひ検討しましょう。

(10)パートナーシップ制度の活用

いくつかの自治体では、LGBTなどセクシャルマイノリティのカップルも含めて、事実婚カップルを対象にしたパートナーシップ制度が導入されています。

この制度でパートナーシップを宣誓したカップルには、宣誓書や確認書・公正証書などの受領証が交付されますので、ぜひ活用してみましょう。

6、パートナーとの関係でお悩みならば弁護士に相談を

事実婚は従来の考え方に縛られる部分が少なくて済む分、届出婚では意識せずとも得られるメリットが実は得られないというようなケースもあるのが実情です。

「届出婚と事実婚、自分たちに合っているのはどちらなんだろう?」という疑問も含めて、パートナーとの今後の関係でお悩みの場合、1度弁護士に相談を行ってみましょう。

弁護士は、法的な観点からみなさんそれぞれの状況に沿ったアドバイスを行い、より幸せな結婚生活を送るためのお手伝いをさせていただきます。

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