原産地で栽培された「苫米地にんにく」の魅力に迫ります
食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく連載企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。
今回ご紹介するのは、知られざる幻のにんにくとも言われる「苫米地にんにく」。
にんにくの産地として有名な青森県の中でも、特に福地村(現南部町福地地区)の苫米地地区で栽培されるにんにくです。
一度食べたら、その魅力の虜になってしまうこと間違いなし!
普通のにんにくと何が違うの? と気になるみなさんに、すでに苫米地にんにくの虜になっているまい姉が、魅力をたっぷりとご紹介したいと思います。
苫米地にんにく
筆者が苫米地にんにくの存在を知ったのは2年前。
元々にんにくは大好きで日頃からあらゆる料理に使っており、スーパーでは青森県産のにんにくを選んで購入することもしばしば。それでも、はじめて苫米地にんにくを食べたときの驚きは、今でも鮮明に覚えています。
生産量が少なく、希少価値の高いにんにくだからこそ、コロナの感染拡大や天候不良などの影響も大きく、今回2年越しでようやく記事でのご紹介が叶いました。
今回は苫米地にんにくの生産者さんである小泉さんに、苫米地にんにくの栽培方法やおいしさなどについてお話を伺いましたので、その魅力をたっぷりとお届けしたいと思います。
にんにくの大産地を支える在来種「福地ホワイト六片」
ご存知の方も多いかと思いますが、にんにくの国内最大の産地といえば青森県。その生産量は、国内全体の8割にも及びます。
そして、その青森県のにんにくにおいて特に有名なのが「福地ホワイト六片」という在来種。北海道や香川県でも生産されている品種です。
球皮、りん片ともに色が白く、りん片の数が6個前後と大きいことから「福地ホワイト六片」と命名されたんだとか。
青森県の中でも特に南部地方は古くからにんにくの栽培が盛んで、福地村の他にもあちこちの村々に在来のにんにくがあったそうなのですが、その中でも一目置かれていたのが苫米地地区で栽培されていた「苫米地にんにく」なんです。
甘みが格別だと大評判に
同じ福地ホワイト六片という品種のにんにくでも、特に大粒で美しく、甘みがとても強いということで、「苫米地にんにく」は県南地方各地の他、津軽などからも注文が殺到するほどの人気だったんだそう。
品質維持のために種子更新が行われてきたので、現在栽培されているものは厳密には「福地ホワイト六片」の原種というわけではないそうなのですが、苫米地の肥沃な沖積層で栽培することで、同じ品種でも明らかに甘みが違うのだそうです。
さすが、名品種を生み出した大地の力ですね。
地区外の人にはほとんど知られていない幻のにんにく
ここまでの紹介を読んでなんとなくお気づきかもしれませんが、この「苫米地にんにく」は、とてもとても希少なにんにくなんです。
馬淵川沿いの苫米地集落で栽培されたものだけが「苫米地にんにく」の名で出回っているのですが、指名されなければ通常の「福地ホワイト六片」として出荷されるため、地区外の人にはほとんど知られていないんだそう。
この希少な存在をもっと多くの人に知ってもらいたいと周知活動に取り組んでいるのが、今回苫米地にんにくについて教えてくださった小泉さんです。
ずっと自宅用に栽培をしていて、30年ほど前にご両親が会社勤めを終えられたのを機に一部商用として栽培を増やし始めました。
小泉さんがこの「苫米地にんにく」の存在の希少さに気づいたのは、上京後の帰省の際に食べた自家製の「福地ホワイト六片」が、他に流通している「福地ホワイト六片」と違うということに気づいたのがきっかけなんだそうです。
7年前にお父様が他界されたときに、「父が残してくれたこの種の良さをもっと多くの人に知ってもらいたい」との思いが増し、現在は栽培量を増やしたり周知活動に積極的に取り組んでいらっしゃいます。
苫米地にんにくのこだわり
「苫米地にんにく」を育てる上での小泉さんのこだわりは、原種に手を加えていないこと、原種を生んだその土地で栽培をしていること。白さや保存性を増したり、においを押さえたりといったような品種改良は一切行っていないとのこと。
また、農作業の多くを手作業で行っているという点もこだわりのポイントだそうです。植え付け前に畑を耕すときだけはトラクターの力を借りていますが、それ以外はほぼすべてを手作業で行っています。
収穫後のわずかな期間だけ楽しめる「生にんにく」
そしてもう一つ、小泉さんが育てる苫米地にんにくが一般的なにんにくと大きく違うのは、自然乾燥にこだわっているという点。
にんにくの収穫時期は6月下旬~7月上旬。
収穫したにんにくは保存性を高めるために乾燥させてから出荷され、7月~8月頃に旬の新物が出回ります。
その多くが機械で乾燥させるというこの出荷前の乾燥の工程を、小泉さんたちはすべて自然乾燥で行っているんだそうです。
自然乾燥の場合は、収穫から出荷までの間に徐々に乾燥していきます。なので、購入するのが早ければ早いほど、にんにくは乾燥前の状態、つまり「生」に近い状態ということになります。
乾燥前のにんにく、いわゆる「生にんにく」ですね。
収穫後のほんのわずかな期間ではありますが、この「生にんにく」を楽しむことができるんです。
小泉さんのイチオシは、やっぱりこの時期限定で楽しめる「生にんにく」。
そして、苫米地にんにくの生にんにく、2022年の新物は今まさに販売中とのこと。(2022年6月28日時点)
数日間の限定の販売で数にも限りがあるそうなので、気になるという方はぜひチェックしてみてくださいね。
▼販売期間は2022年7月8日13:00まで
配信: おうちごはん