●実家の片づけに失敗しないための5つのポイント
1)捨ててスッキリの完璧な片づけを目指さない
「今や物を持たない“ミニマリスト”が話題になるほど、ムダなものがないすっきり片付いた家を理想とする子世代。しかし、親世代は物こそが豊かさの象徴であり、物に囲まれているのが安心で居心地いいのです」
2)親の習慣を優先した片づけを目指す
「子どもが“ここにあるほうが便利”“これを使ったほうが効率がいい”と自分の感覚で片づけたり、便利グッズをせっかく揃えたりしても、親が何十年も行ってきた習慣を無視してしまうと効果がなく、すぐに元に戻ります。親の習慣を観察し、それを踏襲しつつ工夫した片づけをすることが成功へのポイントです」
3)片づけのゴール設定を共有しよう
「物が雑然とした家は危険も伴います。つまり、実家の片づけで目指すべきは、親が安心・安全・健康に暮らせる家です。そのゴールを親子が共有しないと、ケンカや挫折を繰り返すことに。“危ないから”“健康によくないから”などと、伝えながら片づけを進めましょう。“片付いていると孫が喜ぶよ!”というのも効果的です」
4)片づけの主役は親 自分たちはサポート役ということを忘れない
「親が住む実家は親のもの。“片付けさせる、片づけてあげる”ではなく、“片付けさせて”というお願いモードで臨むようにしてください」
5)親は心身ともに老いて衰えていることを理解しよう
「家が片づかないのは、親が心身ともに老いている衰えの表れでもあるのです。どうか、そのことを理解して決して責めたりすることのないように、敬意を払いながら進めましょう」
さらに、円滑に片づけを進めるコツがあるそう。
「捨てられない人にとっては、どれも大事な物なんですよね。それを決断するのを待っていても片づけは進みません。そこで、“まだ使えるから”“いただき物だから”と、捨てることを渋った物は、その気持ちを汲んで一時保管箱に入れて納戸や一時保管場所にうつし、処分はあとまわしにします。家のどこかにあるだけで安心感があり、片づけの時間短縮にもつながります」
さらに、どこの片づけからはじめるかも、重要なポイントだという。
「思い入れのある好きな場所から片づけはじめてしまうと、なかなか進みません。なので、例えば庭先や廊下や階段、玄関、お風呂場など、親御さんの“ハートから遠いところ”からはじめるのがおすすめです」
そして、最後に実家の片づけをする際に、気をつけたい親へのNGフレーズを教えてくださいました。
「いきなり“通帳はどこ?”など、財産の話を持ち出したり、“私を困らせないで”と責めたり、“どうせこんな物使わないでしょ?”など、親の人格否定のような言葉には、くれぐれも気をつけてください」
何より親御さんへの思いやりを持つこと。そして、コミュニケーションをしっかり取りながら片づけを進めることが実家の片づけの成功への道のようです。
(構成・文/横田裕美子)