警察から電話がかかってくるのはなぜ?対応方法や無視のリスクを解説

警察から電話がかかってくるのはなぜ?対応方法や無視のリスクを解説

3、警察から電話がかかってきたのに無視するとどうなる?

さて、ここからは警察から電話がかかってきたのにそれを無視するとどうなるのかについて解説します。

(1)落し物に関する着信の場合

落し物に関する着信の場合、電話を無視せずに折り返して落し物を早めに取りに行くようにしましょう。

時間が経つと落し物を取りに行くのが大変になる可能性があるので注意が必要です。

(2)身元引受人としての呼び出しの場合

身元引受人として呼び出しの場合も早めに対応するようにしましょう。

身元引受人となるかどうかは任意ではありますが、他に適切な身元引受人がいないと家族が身柄拘束を受ける期間が長引くおそれがあります。

(3)被害者・参考人としての呼び出しの場合

被害者・参考人としての呼び出しの場合、警察から電話がかかってくるということは捜査にあたり被害者・参考人の話が必要である可能性が高いです。

そのため、着信を無視し続けると警察の捜査が進まないケースもあるでしょう。

被害者・参考人としての呼び出しの場合は、円滑な捜査に協力するためにも警察から電話があったら折り返すようにしましょう。

(4)被疑者としての取り調べを目的とした呼び出しの場合

被疑者としての取り調べを目的とした呼び出しの場合は慎重に対応しましょう。

被疑者となっている心当たりがある場合は、何らかの犯罪行為に関与している自覚がある人がほとんどです。

被疑者となっているにもかかわらず警察からの電話を無視し続けると、

  • 逃亡のおそれ
  • 証拠隠滅のおそれ

があると判断される可能性があります。

被疑者としての取り調べを目的とした呼び出しの場合は、早急に弁護士に相談しましょう。

4、警察からの電話により取り調べを受ける前に知っておくべきこと



警察からの電話がかかってきて取り調べを受けることになった場合、取り調べ前に以下の内容を確認しておきましょう。

(1)どんなことを聞かれるのか

被疑者として取り調べを受ける際、

  • 警察から特定の日に何をしていたか
  • どこにいたか

等の話を聞かれる場合もあれば、事件についてダイレクトに聞かれる場合もあります。

(2)被疑者の権利

被疑者としての取り調べを受ける際、以下の権利があることを覚えておいてください。

①黙秘権

一つ目の権利は黙秘権です。黙秘権とは、言いたくないことは話さなくてもいい権利のことです。取り調べの中で様々な質問をされても、その質問に答えず終始黙っていることもできます。

黙秘権は被疑者の権利ではありますが、黙秘権を行使することで警察の捜査は長引くことになります。

黙秘権を行使し続けると、かえって被疑者にとって不利な展開を招く可能性もゼロとは言えません。

被疑者としての取調べで黙秘権を行使すべきかどうかは弁護士と相談して慎重に検討することをおすすめします。

②弁護人選任権

被疑者となる人は法律の知識がないのが通常であり、一人ではとても不安になりますよね。

被疑者には弁護士に依頼をして弁護人による弁護活動を受ける権利である弁護人選任権が認められています。

弁護人は

  • 国選弁護人
  • 私選弁護人

に分かれます。

国選弁護人は弁護士費用の心配をほとんどすることなく弁護人を選任することができますが、一定の要件を満たす場合にしか認められず、また誰を国選弁護人にするかを自分で決めることはできません。

これに対し私選弁護人は弁護士に費用を支払い、自分で選んだ弁護士と委任契約を締結して弁護人に弁護活動を依頼します。

③接見交通権

被疑者には接見交通権が認められているので、警察官の立会いなく弁護人と面会することができます。

警察官から監視されている状況では、今後の方針を弁護士と細かく打ち合わせすることが難しいです。警察官の立会いなく弁護人と個別で面会できる接見交通権は、被疑者にとって非常に重要な権利です。

(3)供述調書への署名は拒否・修正を求めることができる

被疑者として取調べを受ける際、取調べの内容をもとに供述調書という書類が作成されます。

供述調書が作成されたら内容の読み聞かせが行われますので、自分の主張と供述調書の内容に相違がないか必ず確認してください。

供述調書の内容に署名押印をすると、供述調書の内容は検察官が起訴・不起訴を決定する際や後の裁判で証拠として使われます。

大枠は間違っていなくても細かいニュアンスの違いにより自分の主張とずれてしまうこともあるでしょう。

細かいニュアンスの違いを含め、供述調書の内容に相違がある場合は供述調書の文面の修正を求めるようにしてください。

万が一、自分の主張と違う供述調書が出来上がり修正にも対応してもらえない場合は、署名押印を拒否するようにしましょう。

供述調書への署名押印は義務ではありませんので、署名押印を拒否することもできます。

(4)取り調べを録音してもよいのか

警察での取調べに不安を感じている人の中には、取調べの録音を考える人もいるでしょう。

取調べの録音は違法ではありませんが、録音していたことが後から発覚すると警察ともめることになります。

取調べの録音を考えている場合は弁護士に相談し慎重に検討してください。

(5)警察に暴力を振るわれたら訴えることが可能

取調べの最中、警察官から暴力を振るわれる可能性はゼロとは言い切れません。

取調べは密室で行われますから、何をされたのかがうやむやになってしまうケースもあります。

警察官による暴力は「特別公務員暴行陵虐罪」(刑法第195条1項)に該当しますので、警察官から暴力を振るわれたら訴えることが可能です。

もっとも、同罪で訴えるには証拠が必要となり、取調べの最中の暴力を証拠により証明することは容易ではないのが通常です。

万が一警察官から暴力をふるわれるなどが取調べ中に行われている場合は、弁護士にすぐに報告弁護士から警察に抗議をしてもらうのが現実的な対応策です。

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