夏バテには気(エネルギー)と水分をチャージ!
夏はいちばん体力を消耗する季節。
ここ数年はあまりの暑さに夏バテを早くから感じている人も多いのではないでしょうか?
夏バテの症状とは、おもに身体がだるい、食欲がない、寝不足、無気力、イライラ、むくみ、下痢や便秘など。
これらは大量に汗をかくことによる水分不足やミネラル不足、食欲不振からくる栄養不足などが原因のひとつとして考えられます。
薬膳や漢方のベースである中医学では汗をかくと水分だけでなく気(エネルギー)も消耗されると考えるので、夏バテ対策には消耗してしまった水分とともに気を補う必要も。
また、屋外の暑さと屋内の冷房による寒さの寒暖差で自律神経や胃腸の乱れも生じてくるので、それらを調えることも大切です。
そこで今回は、夏バテ対策として薬膳をベースにからだの中から調える夏にぴったりのレシピをご紹介します。
おうちごはん記事では、薬膳料理家・ちづかみゆき先生の連載コラム「からだケアレシピ」でも、さまざまな薬膳レシピを紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
からだの中から調える!夏バテ対策の薬膳レシピ
たこときゅうりとオクラのさっぱり胡麻おかか和え
薬膳漢方マイスターの松山絵美さん(@emi.sake)に紹介していただいたのは、からだの熱を取って水分を調整し、疲労回復してくれるメニュー。さっぱり食べられる和えものはあと一品欲しいというときにぴったりですね。
▼薬膳における効能
きゅうり:からだの余分な熱を取り、喉の渇きを潤す。むくみや高血圧にも。
たこ:虚弱体質や疲労回復、めまい、肝機能の向上
オクラ:疲労回復のほか、整腸作用、免疫力アップや糖尿病予防
材料(4人分)
・たこ(茹で)……100g
・きゅうり……4本(正味440g)
【A】
・塩……小さじ1
・砂糖……小さじ1
・オクラ……8本(正味70g)
・かつお節……大1パック(正味4.5g)
・白いりごま……大さじ1
【B】
・ぽん酢……大さじ1
・めんつゆ(3倍濃縮)……小さじ2
・砂糖……小さじ2
下準備
きゅうりは薄い輪切りにする。
たこ(茹で)はそぎ切りにする。
作り方
1. ポリ袋にきゅうりとAを入れてよくなじませ、たまに揉みながら5分置き、さらによく揉んでからギューッと絞って水気を切る。
2. オクラはサッと茹でてから小口切りにする。
3. ボウルにBをまぜ、たこ(茹で)、きゅうり、オクラ、かつお節、白いりごまを入れて和えたらできあがり!
ポイント
●めんつゆ2倍濃縮の場合は大さじ1になります。
●めんつゆ4倍濃縮の場合は小さじ1.5になります。
●ぽん酢は醬油入りタイプのぽん酢しょうゆを使っています。
豚こまとキャベツのコク旨梅みそマヨ炒め
松山さんからもう一品、がっつり食べられるメインの薬膳レシピをご紹介します。
パワーフードと言える食材をたっぷりと使ったレシピで夏バテ知らずのからだに!
▼薬膳における効能
キャベツ:食欲増進や胃もたれなどの胃腸ケアに
豚肉:ビタミンB1を多く含んだ疲労回復食材
梅干し:発酵パワーで疲労回復や食欲不振におすすめ
味噌:消化吸収力を高め、抗酸化作用や解毒作用などさまざまな効能を持つ
材料(4人分)
・豚こま切れ肉……400g
【A】
・塩、こしょう……少々
・酒……小さじ2
・片栗粉……大さじ2
・キャベツ……正味300g
【B】
・マヨネーズ……大さじ2
・味噌、梅チューブ、砂糖、オイスターソース……各大さじ1
・ごま油……適量
・青ネギの小口切り、白いりごま……お好みで
下準備
キャベツはざく切りにする。
豚こま切れ肉はAを揉み込んでから、片栗粉をまぶす。
Bを混ぜておく。
作り方
1. フライパンにごま油を熱し、豚肉をほぐしながら炒める。
2. 豚肉に火が通って来たら、キャベツを加えて炒める。
3. 全体に火が通ったら、火を止めてからBを加え、絡めたらできあがり! 器に盛り、お好みで青ネギの小口切り、白いりごまのせる。
ポイント
●梅チューブは市販のしそ梅肉を使いました。梅干しを叩いてペースト状にしても大丈夫です。
桃とホタテのカッペリーニ
国際薬膳師で薬膳教室ももくりを開かれているサカイキミエさん(@momokuri.yakuzen )には、からだを冷やさずにからだを潤してくれる桃とホタテを使ったパスタを教えていただきました。
桃は渇きをいやし、お肌や腸を潤し、血の巡りもよくしてくれるので乾燥性の便秘を改善して血色よく、みずみずしいお肌に導いてくれます。
気も補ってくれるので汗をかいて夏バテしてる……なんてときにも。
今回は体液を養ってくれるホタテをあわせて潤いをダブルチャージ。
さらに、暑がりさんはからだの熱を冷ましてくれるミントを散らすといいそうです。
材料(2人分)
・カッペリー……120g
・桃(小ぶりなもの、一口大に切る)……1個
・ホタテ(お刺身用、半分にスライス)……1パック
・レモンオイル……適量
【ソース】
・オリーブオイル……大さじ3
・レモン汁……大さじ1
・にんにく(すりおろし)……小さじ1/4
・白醤油……小さじ1/4
・塩、こしょう……少々
・ミント……適量
作り方
1. カッペリーニを茹であげ冷水でしめる。
2. 桃とホタテをボウルに入れてレモンオイルを絡めたらいったん取り出し、今度はパスタを入れてソースの材料を絡め、パスタを器に盛る。
3. 2の上にホタテと桃を散らす。
4. 3の上にミントを散らしてできあがり。
レモンオイルの配分は目安です。調味料はお好みで調整してくださいね。どれも割としっかり目に入れた方が具材とのバランスがよいそうですよ。
ハト麦、金針菜、鶏肉のおかゆ
続いてもう一品は、お腹にやさしく、夏バテ&むくみ解消、さらに美肌効果も期待できるおかゆ。あっさりやさしい味ですが、骨付きお肉で満たされ感もあるのがうれしいところ。
使う食材は、ハト麦、金針菜、鶏肉。
ハト麦は、夏バテの原因の一つでもあるからだの中の湿気をとってくれます。お腹、お肌の調子を整える働きも。
金針菜も除湿の働きあり。熱ごもりも取ってくれます。ほうれん草をはるかに上回る鉄分量も魅力。
鶏肉。今回は手羽中を。暑さや汗で失われた気を補い、冷えがちなお腹を温めます。骨つきのお肉がベター。
作り方
先に茹でておいたハト麦(量はお好みで)と水で戻して端の硬い部分を切り落とした金針菜(乾燥の状態で10gくらい)、お酒を振りかけておいた手羽中6~8本を、水600ccと一緒に鍋に入れて20分ほどコトコト煮る。
途中、水の量を見ながら茹で、最後にクコの実を散らして塩こしょうで調味してできあがり。
手羽中から出たエキスがいいスープになるので、余計な調味は不要。
金針菜は一般のスーパーでは手に入りにくいので、血を補い、水分の代謝をアップさせる効能を求めるなら、枝豆に置き換えられるとのこと。
夏バテで食欲がないときやお腹の調子が悪いときはぜひ試してみたいですね。
イカと人参とセロリのレモンマリネ
漢方ビューティセラピストの松永由美子さん(@ichino.yumiko )に教えていただいたのは、汗と一緒に流れ出てしまう気血水の漏れを防ぎ、潤いをチャージする夏バテ防止メニュー。
暑い夏はキッチンに立っている時間をできるだけ減らしたいものですが、こちらは30分もあれば、レモンの香りが爽やかなメニューが完成します!
薬膳の効能は以下のとおり。
・イカと人参で補血
・セロリで清熱
・トマトは潤いと清熱
+レモンの酸味で汗のかきすぎを防ぎます。イカにはコレステロール抑制効果も。
作り方
マリネ液の材料(オリーブオイル、酢、はちみつ、粒マスタード、レモンのしぼり汁)を合わせておく。
※お好みで塩を加えても。
刺身用のスルメイカを酒を加えた湯でさっと茹で、同じ湯を使ってピーラーでリボン状にした人参、サイズを合わせて切ったセロリを好みの柔らかさに茹でる。
材料が温かいうちにマリネ液と混ぜ、トマトも加えて味を馴染ませる。
薬膳グラノーラキューブ
さらに、松永さんがなるべく切らさないように定期的に作って食べているという「眠りと潤いのためのグラノーラキューブ」のレシピをご紹介いただきました。
疲労回復には睡眠の質が大切ですよね。
漢方では深い眠りのためには、血がたっぷり体内に蓄えられていることが必要なのだとか。
このグラノーラキューブには、眠りに必要な気血を補うなつめやクコの実、くるみや黒ゴマなどをたっぷり使っています。
食べ方は、あまり遅くない時間に2、3個ずつ食べるのがよいそうですよ。
材料
・なつめ……大5個(4×3cmくらいの大粒のオーガニックなつめがおすすめ。小粒なら10個程度)
・クコの実……大さじ2
・ドライフィグ……2~3個
・生くるみ……60g
・黒ゴマ……大さじ3
・オートミール……25g
・甜菜糖……大さじ2
・はちみつ……大さじ1
・塩……ひとつまみ
・豆乳もしくは牛乳……大さじ1
作り方
1. くるみは粗く刻んでオートミールとともに軽く炒る。
2. なつめは種を抜いて1cm角くらいにカット。ドライフィグも粗くきざみ、黒ゴマとクコの実、くるみ、オートミールと合わせておく。
3. 冷たい鍋かフライパンに甜菜糖と塩、豆乳を入れ、弱火で飴状になるまで煮詰め、はちみつも加えて混ぜる。
4. 3に2の材料を加えて温かいうちにクッキングペーパーに包み、15×15cmくらいの型に入れて、均等な厚さになるように上からぎゅっと押しつける。
5. 冷蔵庫で冷やし固めて、食べやすい大きさにカットする。
とうもろこしのとろとろ卵スープ
漢方アドバイザーで国際中医薬膳管理師のなおみんさん(@naomin_yakuzen )には旬のとうもろこしを使った胃腸をいたわるスープを教えていただきました。
薬膳では、黄色い食べ物は胃腸を元気にしてくれる食べ物なのだとか。
とうもろこしは胃腸を調和したり、余計な水分を排出し、むくみを除いてくれたりします。
卵は情緒を安定させ、不安感や不眠にもよいのだそう。潤いを生み出したり、血を補うなどの薬膳的効能も。
夏に消耗してしまう気血を補いたいけれど、胃腸が疲れていると栄養を吸収できませんよね。そんなときに胃腸に負担をかけず、やさしく、でもしっかり補ってくれるのがこちらのスープです。
作り方
1. 茹でとうもろこしを芯から包丁で削ぎ落としてほぐす。
※缶詰でもOK
2. 鍋に湯を沸かし、コンソメ・ガラスープで味を整える。
3. とうもろこしを入れ、片栗粉でとろみを付ける。
4. 溶き卵を箸に添わせて、少しずつ流し入れる。
5. 卵がフワッと浮いてきたら完成。
椎茸のアンチョビにんにく焼き
なおみんさんにご紹介いただくもう一品は椎茸で元気を補うレシピ。
キノコ類は基本的に『補気』といって元気を補う食材。
なかでも椎茸は補う力がいちばん強いと言われています。
夏の疲れにはピッタリ食材。
【薬膳的効能】
・椎茸:元気を補う、胃腸を健康にする、発疹を促し治す力をつける。
・ニンニク:お腹を温める、胃腸を健康にする、食欲を増す、痰を除く、咳を止める、解毒。
・アンチョビ:気血を補い巡りを良くする、脳を健康にする、情緒を安定させる、鎮静作用、筋骨を丈夫にする。
そろそろきのこがおいしい季節ですね。暑さで消耗してしまった元気をおいしい椎茸でしっかり補いましょう!
作り方
1. 椎茸の石突をとり、表面に網目状に切り込みを入れておく。
※ちょっと肉厚しいたけを選ぶとジューシーでおいしい。
2. みじん切りニンニクと細かくカットしたアンチョビを混ぜて、1にのせる。
3. オリーブオイルと塩、バジル(あれば)をかけたら、オーブントースターで7分程度焼いたら完成。
配信: おうちごはん