【卵のギモン】「卵は冷蔵保存」が常識でしょ!? では、なぜスーパーでは常温販売なの?【養鶏農家が回答】

【卵のギモン】「卵は冷蔵保存」が常識でしょ!? では、なぜスーパーでは常温販売なの?【養鶏農家が回答】

毎日の食卓に欠かせない卵。家の冷蔵庫に入れて保存している方がほとんどだと思いますが、購入時を思い出すと…あれ?常温で販売されている…!? 買ったあとは冷蔵するのに、店頭では常温。これってなぜなの?そんなギモンを解決すべく、埼玉県小川町の養鶏農家・桑原花さんを突撃しました。気になる桑原さんのアンサーとともに、卵にまつわる耳寄り話も聞いてきましたよ♪

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卵に結露はNG!

「スーパーで卵が常温で販売されている理由はズバリ、結露を防ぐためです!」(桑原さん)

卵の表面には気孔と呼ばれる小さな穴が無数にあいています。気温の差によって結露し、水滴が気孔を覆ってしまうと、そこから雑菌が中に入って傷むこともあるのです。

常温で売られている卵は、出荷した養鶏農家から購入されて各家庭の冷蔵庫に入るまで、大きな温度変化がないため傷むリスクも少なくすみます。

ということは、温度が一定で、結露さえしなければ購入後も常温保存でも良い、ということなんでしょうか。

「単純に考えるとそうですね。もちろん、温度が高すぎると卵は長持ちしません。涼しくて温度が一定な冷蔵庫での保存が一番ですよ」(桑原さん)

厚生省は家庭での卵の保存に関して、サルモネラ菌など食中毒の原因となる菌の増殖を防ぐために、10℃以下で保存することを勧めています。購入した卵は必ず冷蔵保存しましょう!

冷蔵庫のドアポケット、じつは卵の保存に不向き!?

冷蔵庫のドアポケットに卵を入れている方が多いと思いますが、これはNG。

冷蔵庫の中でも特に温度変化が激しい場所がドアポケット。せっかく卵を入れてもここで結露してしまう可能性があるんです…!また、ドアを開け閉めする度に卵に振動が加わり、殻にヒビが入ることも。

そのため、卵の保存はドアポケットよりも、冷蔵庫のなかでも温度が安定している棚の奥や、真ん中部分に入れましょう!

卵の鮮度は見た目じゃ分からない!?

「産みたての卵の殻はツヤツヤしていますが、鶏の品種にもよるため一概に鮮度の目安とは言えません。卵の鮮度は割ったときの”プリっと感”で判断できます!」(桑原さん)

さっそく新鮮な卵を割ってみると…おお、なんだか全体的にプリっとしています!

「新鮮な卵は黄身、濃厚な白身、水っぽい白身の3層に分かれていて、黄身も白身も立体的に盛り上がっています。最初はこのように新鮮な卵も、2週間ほどたってくると黄身が平らになり、白身もシャバシャバと全体が水っぽくなります」(桑原さん)

ただし、生みたてであっても黄身や白身が盛り上がりにくい卵もあると言います。

「若い鶏が生んだ卵に比べると、年老いた鶏の卵は殻のツヤも、黄身や白身の盛り上がりも控えめになってきます。でも、味は変わらないので、市販で流通しているものは安心して食べてくださいね」(桑原さん)

鶏によって卵の産み方にも個性が! 

現在、平飼いで合計690羽の鶏を育てているという桑原さん。そのほとんどが約9日間連続で1個ずつ産んで、1日休んでまた産み始める、というペースなのだそう。

「もちろん鶏によって個体差がありますし、季節によっても変わってきます。春は卵をよく産みますが、夏は暑さのために産む卵の数が減って、冬になると少し増えますね」(桑原さん)

小屋に置かれた木の箱の中が、鶏たちの産卵場です。

「床から少し高い位置に置いた箱に卵を産みます。箱に飛び乗ってすぐ産む鶏もいるし、5分ぐらいじーっとしてから産むマイペースな鶏も。卵の産み方にも個性が出ますね」(桑原さん)

こうして産み落とされた卵をパック詰めする前に、「こんこん」と卵を叩く桑原さん。これはどういう意味?

「殻に割れがあると音が濁るんです。アナログなやりかたですけどね(笑)」(桑原さん)

おいしい卵の裏には、最後まで丁寧に作業する養鶏農家の姿がありました!

参考サイト:
厚生省「卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について」https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1007/h0722-1.html
JA全農ひろしま たまご広場「卵のQ&A」https://cokecco.zennoh.or.jp/qa/

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ぶくぶく農園

桑原 花さん

1990年生まれ。3人姉妹の長女。5歳のときに一家で埼玉県比企郡小川町に移住、父の衛さんが野菜、米麦、養蜂、養鶏などを営む。大学卒業後、NPOジーエルエム・インスティチュートの農業開発援助アシスタント業務でフィリピン・ルソン島北部に1年半駐在。実家で約1年の研修後、2016年に就農。現在690羽の平飼い養鶏を営む。卵は、JA埼玉中央「小川農産物直売所」や「デリカテッセンアーチャン」「自然食の店リフレ」(いずれも小川町)、「とうふ工房わたなべ」(ときがわ町※毎週日曜日のみ)、江東区の八百屋「野菜のちから」、世田谷区下北沢のサンドイッチ店「サンドイッチクラブ」などで販売する。

ぶくぶく農園ホームページ:http://www.jca.apc.org/~stet/

ぶくぶく農園インスタグラム:https://www.instagram.com/bukubukufarm/?hl=ja

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世界が目まぐるしく変わってゆく今だからこそ、自然を身近に感じながら、自分らしく、気持ちよく暮らしたい。『あたらしい日日』は、そんな思いを抱くすべての女性のためのライフスタイルメディアです。「食」や「農」の話題を中心に、“あたらしい暮らし”に合う食べ方、住み方、働き方、遊び方、自分の磨き方…などを提案します。
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