進化し続けるヴィーガンカフェ「エイタブリッシュ」川村さんが考えるSDGs

近年日本でもSDGsに対する取り組みが推進され、日常でSDGsというワードに触れる機会が多くなりました。企業だけでなく個人でも意識的な行動が求められる中で、私たちにできることとは一体何なのでしょうか。
今回はあらゆる活動がSDGsに結びついている川村明子さんをクローズアップ。そこにはSDGsと向き合うヒントが隠されていました。

話を伺ったのは川村明子さん

 

南青山に本店を構えるヴィーガンカフェ「パーラー エイタブリッシュ」のオーナー。

その存在はヴィーガン店の先駆けとされる一方、美味しさとハイセンスなビジュアルからヴィーガンに限らず幅広い層の人気を集めている。

さらに自身が代表を務めるデザイン会社「Apollo&Char Company」ではクリエイティブディレクターとして商品パッケージやブランディング、建築デザインを手掛けるなどその活動は多岐にわたる。

2020年には “からだ、地球、みんなにやさしい製品” の製造・販売を行う会社「Dotswill」を設立。SDGsを考慮した製品開発に加え、商品の売上げの一部をSmileSmileProject*に寄付するなどあらゆる面から社会貢献に尽力している。

 

*国際医療団体「ジャパンハート」が運営する、小児がん患者のサポートを目的としたプロジェクト。

 

ヴィーガン食にみるSDGs

 

SDGsへの関心が高まる中、環境保護などの観点から日本でも動物性食品を控えようとする動きが見られるようになってきました。最近ではヴィーガンやベジタリアンに加え、「ゆるベジ」や「フレキシタリアン」といった言葉も耳にするほど。スーパーマーケットには植物性ミルクや代替肉の場所が設けられるなど着実にその存在感は増しています。

そんな中、20数年前にヴィーガンカフェを立ち上げた川村さん。長年ヴィーガンをコンセプトとして掲げてきた裏には、目の前の人を喜ばせたいとする強い信念がありました。

ヴィーガン=みんなにやさしい食

 

「初めてカフェをオープンしたのは2000年。知り合いのインテリアショップの社長から『店舗の上階でカフェをやりたいんだけど、何かいいアイデアある?』と声をかけられたのが始まりです。もともとカフェ経営に憧れがあったこともあり、やってみようか、と軽い気持ちでOKしました。

デザイン会社を一緒に立ち上げたパートナーとともにカフェも運営することになり、『せっかくやるなら普通じゃない方がいいよね』って二人で話した結果、ヴィーガンをコンセプトに決めました。

というのもパートナー自身はもともとヴィーガンで、日頃からヴィーガン料理に親しんでいました。それに対して私はヴィーガンじゃないけど、周りにヴィーガンやベジタリアンの友人が多くいたことで馴染みがあって。その友人たちと同じ食卓を囲みたいという気持ちが日頃からありました。

さらにヴィーガンという制約の中で美味しいものを提供する、そこにクリエイティビティな魅力を感じたことも決め手でしたね。

二人の視点は違うけれど、結果的に『ヴィーガンはエンターテイメント(おもてなし)』ってところで意気投合しました。」

 

 

「ヴィーガンは制約が多い分、誰でも口にすることができる。つまり差別のない食事なんです。みんなで気兼ねなく食卓を囲み、食を楽しむ。そうした食事を提供することが社会貢献にもなると考えます。」

ヴィーガン食をポジティブな存在にしたい

 

「エイタブリッシュでは味や素材はもちろん、商品のデザインにも力を入れています。

カフェを始めた当時、ヴィーガンは野菜だけを使った料理であることもあり、華やかさに欠けるため、あまり理解を得られませんでした。料理にデザイン性を持たせ、さらに美味しければマイノリティから抜け出せると思ったんです。」

 


季節限定商品 フラワー&フィグダージリンクッキー

「商品企画からパッケージまで含め、全体のバランスを意識してデザインしています。たとえばクッキーを手に取ったお客様がパッケージデザインに目を惹かれ、蓋を開けた瞬間にその見た目に感動し、口にしてその美味しさにまた驚く。そんなふうに商品で人を喜ばせたい。サプライズ感を演出できるような、クオリティの高いものを作るよう心がけています。」

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