こんにちは、スーパー青果部歴10年の青髪のテツです。食欲の秋、さつまいもがおいしい季節ですね!この時季は、よくお客さんから「甘いさつまいも選んでよ」とのお声をいただきます。そんな期待に応えて、甘~いさつまいもを選ぶコツを、プロ目線でお伝えしますね。ポイントは見た目じゃなくて…「買う時期」と「品種」!?今回はさつまいもラバー必見ですよ!
【青髪のテツ】「採れたて新鮮かぼちゃには手を出すなよ、お嬢さん」だって、おいしくないのさ(野菜のプロ談)
鉄則1:甘さ全開のさつまいもは「11月頃まで待つべし!」
品種にもよりますが、多くのさつまいもは9~10月頃に収穫されます。その時期に収穫したものを適切に貯蔵することで、1年間流通させていくという野菜です。
実はさつまいもは、収穫したての”鮮度抜群”の状態では、ほとんど甘さは感じられません。その理由は、畑で蓄えられたデンプンが糖に変化するまで時間が必要だからなんです。
収穫したてのさつまいも(出典:写真AC)
これは神奈川県のさつまいも農家さんに聞いた話ですが、収穫してから2か月間、温度13℃前後、湿度80〜90%に保たれた専用の貯蔵施設で熟成させることで、やっとさつまいものデンプンが糖に変換され、甘みが増していくそうです。
つまり、9月に収穫されたさつまいもが十分に熟成するのは、11月頃になるということです。11月以降は、しっかり熟成したさつまいもが多く出荷されてくるので、甘いさつまいもに当たる確率が高まりますよ。
私がこの話をSNSで発信すると「自宅で熟成させればいいじゃん」というコメントがつくことがありますが、一般の家庭で最適な条件を作り出すことは難しく、とくに湿度管理はまずムリだと思います。なので、熟成はプロに任せるのが正解です。
鉄則2:甘さ全開のさつまいもは「品種で選ぶべし!」
もう一つ、甘いさつまいもを引き当てる条件があります。それは「品種」です。さつまいもは、品種によって甘さがまったく違うんです。
個体差はありますが、主な品種の熟成時の糖度(目安)を紹介します。10月上旬時点の糖度も実際に計測しましたので参考にしてみてください。
1. 「紅あずま」…ほくほく系とねっとり系の中間に位置する食感のさつまいもです。
しっかり熟成させると、糖度は生芋で14度ほどになります。
10月上旬に計測したら、「3.8度」でした。まだまだ熟成の余地ありですね。
2. 「安納芋」…加熱すると甘味の強いねっとりした味わいになる品種。
熟成すると生芋で16度ほどの糖度になります。
10月上旬に計測したら、「12.7度」でした。すでにだいぶ熟成が進んでいますね。焼き芋にするとおいしそうです!
3. 「紅はるか」…比較的新しい品種ですが、糖度が非常に高いことから、全国で多く生産されるようになっています。
熟成した際の生芋の糖度はなんと…40度にもなる個体もあります。まさに”極甘”の品種です。
10月上旬に計測したら、「9.3度」でした。十分に甘いと思いますが、紅はるかとしては「序の口」でしょう。
以上のことから、さつまいもを選ぶ際は品種をチェックすることがとても重要になってきます。
「じゃあ『紅はるか』をいつも買えばいいじゃないか」と考える方もいるかもしれませんが、わたしの場合は料理によって品種を変えています。例えば焼き芋が食べたいときは紅はるか、味噌汁の具にするなら甘すぎない紅あずま、煮物にするときはホクホク系の鳴門金時にするなどしています。
参考までに10月上旬の「焼き芋」の糖度も調べてみました!プロがじっくり焼き上げた『シルクスイート』で、結果は「16.4度」。頬張っただけで口の中に甘みがたっぷり広がるおいしい焼き芋でしたが、まだまだ甘くなる余地がありそうですね~。これからの季節、超楽しみです!!(あたらしい日日編集部より)
冒頭にも説明しましたが、これからの時期さつまいもはどんどん糖度が高くなっておいしくなっていきます。
ぜひ旬のさつまいもをたくさん食べましょう!
配信: あたらしい日日