『WORLD EXPO 2030 BUSAN KOREA CONCERT BTS <Yet To Come> in BUSAN』会場(撮影:有屋町はる)
10月15日、韓国・釜山市で『2030年釜山国際博覧会』誘致の成功を祈願する無料コンサート『WORLD EXPO 2030 BUSAN KOREA CONCERT BTS <Yet To Come> in BUSAN』(以下、釜山コン)が開催されました。
なんと無料でBTSのライブが見られるという、全世界のファン(以下、BTSファンの通称“ARMY”で統一)大歓喜の催しなのです。さらに、活動休止を匂わせる報告があったあとでの、初の単独有観客ライブでもあります。
チケットの入手方法は、ファンクラブに応募しての抽選。ARMY歴4年の筆者はもちろん応募。開催場所は収容人数5万人だという釜山アジアード主競技場ですから、Fラン大学生が文藝春秋社の入社試験を受けるような心持ちで応募しました。言わば記念受験です。ダメ元で。応募するのもタダですからね。
「そういえば今日、当落発表日でしたよね。確認しました?」
9月7日、子どもが参加しているスポーツ少年団の付き添いにいくと、同じく付き添いで来ていたARMYの友達(以下、アミ友)が声をかけてくれました。
「そうでしたねえ。どれどれ」なんてのんきにファンクラブのマイページを確認すると。
!!!!!!当選している!?!?!?
「すごい!!! やったじゃないですか! ところで、もう飛行機と宿は取っているんですよね?」
推し活をしているなら、遠征のライブ日程と場所が決まった時点で交通手段と宿泊先を抑えるのは常識だよね? という言葉が、アミ友の鋭い眼差しから光線のようにダダ漏れています。
「いや……だって当選するとは思いませんでしたから、まだ、何も……」
「え!!!!」
まさかの絶句。そんなに絶句するほどのことなのか? またまたァ~~、とまたもやのんきにかまえ、帰宅して成田→釜山便と釜山の宿泊状況をチェックすると。
「え!!!!」
アミ友が絶句するはずです。成田→釜山便はすでに空きゼロ。宿はパッと見最安が1泊6万円超えです。Airbnbでさえ同等。いろいろ探していると、HISが販売している「福岡空港→釜山チャーター便+空港から競技場への送迎付きパック」11万9,800円! とか、JTBが「エア+宿泊+チケット付きパック」36万円! とか、情弱を根こそぎ刈り取ろうとしているではありませんか。
マラソン大会でこいつだけには絶対勝ちたい! って奴が真後ろから追ってきているみたいな焦燥感にとらわれ、手汗を握りハァハァ言いながら情報を収集するためにLINEの当選者オープンチャットに入りました。すると。
<聞く前に調べてください! 落選した方に申し訳ないです。飛行機もホテルも全て取っている方って、落選された方のほうが多いですよね。それって事前準備を誰よりも早くされているからだと思います。>
<そんな方が落選されている中で、「スタンディングってどうなんですか?」「時間は?」「バスで間に合いますか?」って質問は違うと思うし。バスで間に合わないと思うから事前準備をされているんです。その方たちの分まで楽しむために、まずは自分で! これは基本ですよ。>
「え!!!!」
この短時間で何度絶句すればいいのでしょうか。なんと、当選がわかってからもろもろ予約する体たらくを叱りつけられています、筆者たち……。落選者への申し訳なさを持たないといけなかったなんて……情弱なのに当選しちゃって申し訳ございませんでしたああ!!!
叱られる一方で、情強には恐怖の“勝手にキャンセル”が襲いかかっていました。
BTS釜山コン、宿泊予約に情強も情弱も平等に苦しむ
日本でも同じ現象がありました。12月1、2日に青森県で開催される羽生結弦さんのアイスショーを観覧するため、同市内のとあるホテルを予約したユヅリストたちから「予約していたのに、ホテルから一方的にキャンセルされた!」と声が上がったことは、記憶に新しいことと思います。(後日、「一方的にキャンセルしたという事実はない」と発表したホテルもあります)
それが釜山のホテルでも起こっていたのです。
<釜山ホテル勝手にキャンセルされました。許しません>
<ホテルが強制的に日付変更されていました。14~17宿泊予定が16~17になっていました>
<今日いきなり釜山のホテル側からキャンセルされた 最低……>
情強も情弱も平等に翻弄する釜山コンは、まだ始まってもいません。
結局、筆者は釜山から逃げるように成田→ソウル便を取り(5万9,000円)、HISのバスで明洞から会場まで直行するバス便も予約(1万2,000円)、そして明洞からギリギリ徒歩圏内の飲み屋街・鐘路の1泊5,000円の宿に落ち着いたのでした。なんとか10万円に収まった……。
ちなみに、落選の腹いせで、予約した釜山の宿をキャンセルしないことで恨みを晴らすARMYもいたようです。
それから個人的には平穏な日々を過ごしていましたが、当選者オープンチャットではまだまだ戦いは終わっていなかったのです。
HISバス組ARMYが声を上げた!
まずソウル→釜山のHISバス組が懸念したのは、韓国の交通情況。
ライブ当日のスケジュールは、午前11時から本人確認とチケット受け取りが始まり(韓国在住者はチケットが郵送されますが、海外勢は予約票とパスポートを提示するというくだりがあります)、午後2時から会場入りのための整列(スタンディングのため、事前に整理番号が割り振られてはいます)、午後6時から開演。
バスでソウルから釜山までは約5時間で、HISは午前7時出発に設定していましたが、何度も渡韓しているというメンバーが声を上げました。
オープンチャットに激震が走った
<韓国の渋滞は尋常ではありません。渋滞に巻き込まれたら、間に合わないかもしれません!>
不安の波は各メンバーまで秒で到達し、HISへメール&電話攻勢が開始!
<時間を早めてくれるようお願いしました!>
<みんなで声を上げましょう! 変わるはずです!>
革命家のように拳を振り上げ、ついにHISから、「出発時間変更のお知らせ」のメールが! ARMYが完全勝利した瞬間でした。
さらにもうひとつ、もっと深刻な不安がARMYたちを襲っていたのです。
配信: サイゾーウーマン