訴訟告知とは?裁判所から告知書が届いたときに知るべき6つのこと

訴訟告知とは?裁判所から告知書が届いたときに知るべき6つのこと

3、訴訟告知を受けたらどうすればいい?

それでは、裁判所から「訴訟告知書」が届いたときには、どのように対応すればよいのでしょうか。

先ほどから例に挙げている「Aの立場」で考えてみましょう。

(1)訴訟に参加するかどうかは自由

訴訟告知を受けると、「参加的効力」が生じますが、実際に参加するかどうかは被告知者の自由です。

参加して自分で主張・立証を行うこともできれば、参加せず原告・被告に訴訟の行方を委ねることもできます。

本記事の例のように不倫のケースでは、一般的にAの立場の人は訴訟告知を受けても参加せず様子を見守ることが多いです。

Aが男性である場合や、AとBが離婚しない場合には、その傾向が特に強くなります。

(2)参加しない場合の注意点

参加しないことに決める場合でも、参加的効力に拘束されることに注意する必要があります。

前述したように、B・C間の訴訟で相場を大幅に超える慰謝料額が確定した場合は、その金額を前提としてAのCに対する求償義務も確定してしまいます。

この結果を回避するために考えられるのは、AがCのために弁護士に依頼し、弁護士との打ち合わせなどに同席するという方法です。

この場合も、Bと離婚しない場合はBの感情を害しないように注意深く行動する必要があるでしょう。

(3)参加する場合の注意点

参加する場合は、当事者のどちら側に付いて参加するのかを判断する必要があります。

不倫のケースでは、Aの立場の人はC側に付くべきケースが多いですが、必ずしもそうであるとは限りません。

例えば、CがA・Bの夫婦関係を破綻させる目的でAを誘いかけたような場合で、AもCを訴えたいというケースです。このような場合、AはB側に付くべきことになります。

一般的なケースでC側に付く場合、Aとしては離婚したくないのであればBの感情を過度に刺激しないように配慮する必要があります。

Aの立場で必要な主張・立証を行いつつ、Bの感情を刺激しすぎないためには、弁護士に依頼して訴訟に参加する方がよいでしょう。

4、訴訟告知の流れ

本章では、訴訟告知をする方法と、その後の流れを解説します。

(1)被告知者はさらに訴訟告知ができる

訴訟告知を受けた人は、さらに別の第三者に対して訴訟告知をすることができます(民事訴訟法第53条2項)。

不倫のケースでは考えにくいですが、別の事案で考えてみましょう。

例えば、W・X・Yの3人でZに暴行をして危害を加えたとします。

この場合、仮にWがZに対して損害賠償金を全額支払うと、WはXとYに対する求償権を取得します。

ZがWに対してのみ損害賠償請求訴訟を起こした場合、WはXとYに対して訴訟告知が可能ですが、何らかの理由でXに対してのみ訴訟告知をしたとしましょう。

この場合のXは、さらにYに対しても訴訟告知ができます。

(2)必要書類

訴訟告知は、書面(訴訟告知書)を裁判所に提出して行わなければなりません。

訴訟告知書には、「告知をする理由」と「訴訟の程度」を記載する必要があります(同条3項)。

「告知する理由」については、被告知者がその訴訟にどのような利害関係を有しているのかを具体的に記載します。

上記の例であれば、WとXが敗訴して損害賠償金の支払いを命じられた場合には、Yに対する求償権が発生し、Yの負担部分について支払いを請求することになる旨を記載します。

「訴訟の程度」については、その訴訟が現在どこまで進行しているのかを記載します。

具体的な記載事項は、以下のとおりです。

訴訟が係属している裁判所名
事件番号
事件名
何月何日の第何回口頭弁論期日でどのような書面を提出したのか
次回期日が何月何日何時に指定されているのか

必要書類は、訴訟告知書のみです。

ですが、裁判所用の正本1通、被告知者用の副本1通、相手方当事者用の副本1通の合計3通を作成して、裁判所に提出する必要があります(民事訴訟規則第22条)。

(3)費用

訴訟告知に手数料はかかりませんが、裁判所からの送達費用として郵便切手を予納する必要があります。

金額は1,000円程度ですが、裁判所によって具体的な金額や切手の組み合わせが異なりますので、訴訟が係属している裁判所で事前に必ずご確認ください。

(4)被告知者が訴訟告知をすべきタイミング

訴訟告知は、訴訟が係属している間はいつでも行うことができます。

ただし、自分の側に補助参加してもらう場合なら、早い段階で訴訟告知をする方が得策です。

一般的には、答弁書の提出と同時か、その後くらいのタイミングで行われることが多いです。

訴状と答弁書が提出されると、原告の訴えの内容とそれに対する被告の認否が明らかとなり、争点をおおよそ把握できるようになるからです。

上記の例におけるXの立場でも、答弁書の作成と併せて訴訟告知の準備もするとよいでしょう。

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