テレビ局気象チームの舞台裏|杉江勇次 日本テレビ気象デスク①

所属するウェザーマップ社のこと

僕が所属するウェザーマップ社には全国に150人ほどの気象予報士がいて、各地のNHKや民放のローカル局などで気象予報の担当をしています。所属する気象予報士は、気象庁が発表したデータやウェザーマップ社が開発した独自のシステムの入った「気象予報士支援ページ」や、気象庁のホームページ、日本気象協会のシステムなどを参考にしながら、何が必要なデータかを探り、予報業務にあたっているのですが、経験が浅いうちは迷うことも多いのです。

車の免許をとっても、すぐにすいすい運転できるようにならないのと似ています。

説明:気象予報士支援ページ(ウェザーマップ社提供)

防災のためのひとことを添える

気象予報の世界は、僕が気象予報士の資格をとった1995年に比べて、格段に観測データが増え、数値計算も進歩して、より精度の高い局地的な予報が求められるようになってきました。大雨の頻度が高まり、短時間に次々と積乱雲が発達して線状降水帯ができるなど、災害につながる局地的な豪雨も増えています。

ただ、現在の科学技術をもってしても予測しくにい部分はたくさんあります。例えば、線状降水帯は、発生前の赤ちゃんの段階でとらえられるようになってきているのですが、どこまで大きくなるか、見極めることは難しいです。気象庁が「今後の24時間に200ミリの雨が降る」と予想している場合でも、現在や過去の気象条件などを考えてもっと降りそうだと考えれば、「局地的にはもっと降るところがあるかもしれません」と注意喚起したり、長くは続かないだろうと思った時は「あと2、3時間は特に気をつけてください」と言ったりとか。その辺の伝え方は、気象予報士の技量と経験によって違ってきます。

全国で防災に結びつく、より適切なメッセージをお届けするために、自分の経験が生かせればと思っています。

※「防災ニッポンボイス」杉江勇次さんの2回目は11月17日に公開します。

<プロフィル> 杉江 勇次(すぎえ・ゆうじ) 気象予報士、日本テレビお天気キャスター・気象デスク 1968年千葉県松戸市生まれ。中央大学理工学部卒業。富士通でシステムエンジニアとして3年間勤務。退社後、1996年ウェザーマップ入社。TBSでおはようクジラ、ニュースの森などの天気予報を務めたのち、2002年から日本テレビで昼の天気予報を担当。「ズームイン!!サタデー」や「news every.サタデー」に出演するほか、朝から夜にかけて、様々な番組で天気予報のほか気象デスクも担当している。特技のドラム演奏で天気を表現するドラマチック天気予報も行っていた。

関連記事:

配信元