「まず、怒るという感情自体は悪いことではありません。人は何か行動するとき、そこには必ず理由があります。同時に、人にはそれぞれ『価値観』『思い込み』『想定』『期待』という行動の基準、“枠”があり、相手がその枠の中に入らなかったりすると、自分の感情が乱されてイライラしたり怒ったりするのです」(嶋津良智さん 以下同)
行動に理由があるのは、親に限らず子どもにとっても同じこと。お風呂に入らない、テレビから離れない、「抱っこ、抱っこ」と泣き叫ぶ…。親を困らせる行動にも、子どもなりの理由があるそう。
「まずはなぜそうしたか、子どもに理由を聞きましょう。その上で、教育としてダメなことは教える必要があります。時には子どもに理解してもらうよう “叱る”ことも必要です」
とはいえ時間や心に余裕がないときもある。例えば、朝の通勤前に、ついつい焦って言い過ぎてしまう…。これって良くないですよね?
「時間的な制約がある場合、子どもにも急いでもらう必要があります。そういうときは、無理に理由を聞く余裕はありません。完璧を求めずに、ときには感情的になってしまっても仕方ないと思うゆるさも大切です」
●子どもを怒りすぎな場合は、怒りをコントロールする術を身につけて
とはいえ、親がイライラして怒ってばかりいると、当然子どもにも悪い影響がある。
「怒られ続けた子どもは、『何かしたら怒られる』というマインド設定がされるため、本能的に自己防衛をします。最大の自己防衛は、何もしないこと。自立を阻むことになります。また、子どもも怒られることに慣れていくため、何かしても『怒られれば済む』というマインド設定がされることも考えられます。すると、相手のためを思って何かを伝えようとしても、子どもに届かなくなってしまうこともあります」
嶋津さんによれば、そんな怒りをコントロールするのに「アンガーマネジメント」という考え方があるという。
「怒ることで相手をコントロールしようとすることは、暴力と同じ。自分都合の不要な怒りを減らし、正しい伝え方を身につけるためのプログラムが『アンガーマネジメント』です。例えば、怒りたくなったときは条件反射的に声を荒げるのではなく、いったん間を置くことで、冷静な判断ができるようになります。もしイライラするようなことが起きたら、頭の中で1・2・3と3つ数を数えてみるのもいいでしょう。そうするだけで、少し気持ちが落ち着き、相手の話を聞く姿勢を取りやすくなります」
怒ってばかりいるとママの心身にも良くない。上手にイライラをコントロールして、育児ストレスから解放されよう!
(ノオト+石水典子)