「うーん…基本的に子どもは相手の立場に立って物を考えることが苦手です。相手に合わせて自分を抑えているより勝手な行動をしているほうが、子どもにとっては健全かもしれません」(嶋津良智さん 以下同)
では例えば、5歳の子どもが友だちに玩具を取られて、相手を叩いてしまったとする。このときも怒りに任せても仕方ないこと?
「子どもが友だちに玩具を取られた場合、我慢せずに『それは私が遊んでいるから返して』と言うほうがいいです。怒りには健全なコントロールと不健全なコントロールがあります。子どもにとって不健全なのは、怒りを我慢してしまうパターンです。正しい怒りは表に出すことが大切です」
●親は子が気持ちを伝えるアンガーマネジメント上のサポートをすること
では友だちとケンカをするなどして腹を立てた自分の子どもが、相手を叩くなどのトラブルを起こした場合、親はどうやって叱ったらいい?
「子どもにとって怒るようなことがあっても、叩くことは暴力なので教育上望ましくないことです。相手の立場になって考えることが苦手な子どもには、言って聞かせるより体感させたほうが説得力を持つこともあります。『ママが同じようにあなたを叩くから、どう感じたか教えて』と、軽くで構わないので、同じことを体験させましょう」
同じことをして、どう感じたかを聞いてあげることで、いけないことなのだと子どもが気づくこともできる。
「その後、嫌なことがあっても相手を叩いたり、泣きわめいたり、我慢したりせず、相手に伝えたいことは言葉で伝えるのだと、怒りの正しい伝え方も教えてあげます。相手の子どもに『うちの子が話したいことがあるから、聞いてもらってもいい?』と、手伝ってもいいでしょう」
ここでの親の役割は、サポートしてあげること。子どもの問題は自分で解決させないと、成長のタイミングを奪ってしまう。親が相手の子どもに話したりしないように気を付けよう。
子どもにとって怒りの感情が引き出されるようなトラブルは、解決能力を身につけるチャンス。子どもの気持ちを察してあげながら、影からサポートしつつ見守ってあげよう。
(ノオト+石水典子)