一体どういう理由で、エリートママが厄介なのだろうか。都内の公立小のある教員はこんな話をする。
「比較的裕福な家庭の多い地域では、親の教育レベルも高く、子どもたちも落ち着いていることが多いです。でも、実は親への対応に困ってしまうことも多々あります。学校公開の後に親から『ほかにも、こういう解き方がありますよね』などと指摘されたり、質問攻撃にあったりすることがあるんです。授業内、それも学校公開の1時間内にすべての解き方を扱うのは、無理があります。まして公立の場合、子どもたちの学力差が非常に大きく、難しい。授業内容に不満を訴える人も少なくないのですが、そういった事情も考慮してもらえると助かりますね」
また、高学歴のキャリアママなどは、本人が悪気なくやっていることなのに、周りから「モンスター」認定されてしまう言動があるそうだ。
ママ向けの子育て講座などを開催しているファインコーチングの山崎洋実さんは言う。
「キャリアママは、人前で意見を言うことに慣れているので、学校や地域の集まりでも、会社で意見を出し合うのと同じ感覚で意見してしまいがちです。でも、その内容が建設的で、正論であっても、相手には『クレーム』としてとらえられたり、『自分がやりたくないだけ』と思われてしまったりするケースが多数あるのです」(山崎さん 以下同)
●正論でも「クレーマー」認定されることも!?
また、出身大学や職業のことなど、自分から他人に話す人はそう多くないが、どこかから噂になり、噂が独り歩きしてしまうことは多々あるもの。
「同じことを発言しても、高学歴ママやキャリアママの場合、相手のやっかみもあって、『また、〇〇さんが何か言っているみたいよ』『やっぱりエリートだから普通の人と違うのよね』などと言われてしまうこともあるんです」
自分では良かれと思って発した言動が、周囲からは「出しゃばり」とか「面倒くさいことを言い出す人」「エラそうな人」「クレーマー」などと思われてしまうこともあるそう。
「日頃忙しく仕事をしているママたちにとっては、保育園・幼稚園や学校には、正直、無駄に見えることも多々あるもの。その“無駄”を改善しようとして、かえって面倒な結果を招いてしまったり、自分自身が損をすることになったりすることも多々あります」
エリートママの頑張りがすべてNGというわけではない。でも、それが周囲の賛同を得られない場合、かえって混乱を招き、「面倒な人」と思われてしまうこともある。不合理や無駄を感じた場合、ドラスティックに改革しようと思うのではなく、長い目でゆっくり働きかけることが必要かも。
(田幸和歌子+ノオト)