出産育児一時金直接支払制度の特徴は?利用方法や注意点も紹介

第191回 みんなが共感!ママのお悩み
出産育児一時金直接支払制度は、被保険者の手続きの負担を減らしてくれる制度です。出産を予定している人は、どのように出産育児一時金を受け取るかを考えておきましょう。スムーズに申請ができるように、知っておきたい情報を紹介します。

出産育児一時金直接支払制度の特徴

「出産育児一時金」の受け取り方法は、被保険者が選択できますが、受け取り方法ごとの違いが分かりにくいと感じる人もいるでしょう。出産育児一時金の直接支払制度を理解するポイントを紹介します。

出産資金を立て替えずに済む

「出産育児一時金」は、加入している健康保険組合から支給されるお金です。会社で加入している健康保険組合だけでなく、国民健康保険に加入している場合も支給されます。

「出産育児一時金」の「直接支払制度」とは、医療機関が支払機関に請求して支払いを受ける仕組みのことです。支払機関は、被保険者が加入している健康保険組合に請求して支払いを受け、医療機関に支払うことになります。

直接支払制度を利用すれば、医療機関にて簡単な手続きを行うだけで出産育児一時金を受け取れます。

また、出産前に高額な出産費用を用意しておかなくて済むところや、自分で健康保険組合に申請手続きをしなくてよいところなども、ママにとってうれしいポイントでしょう。

参考:出産したとき | 健保の給付 | 東京不動産業健康保険組合

病院によっては「受取代理制度」を利用することも

しかし、すべての医療機関で、直接支払制度を利用できるわけではありません。

小規模な産院などの場合、経営上の負担を軽減するために、出産育児一時金に関して、直接支払制度ではなく「受取代理制度」を利用していることがあります。

受取代理制度は、直接支払制度と違い加入している健康保険の窓口に自分で申請しなければなりません。

健康保険組合に「受取代理申請書」を提出し、出産育児一時金の申請が済むと、健康保険組合から医療機関に一時金が支払われる流れです。出産予定日の2カ月前から申請できます。

参考:出産育児一時金の支給額・支払方法について|厚生労働省

「直接申請」は出産費用を用意しておく

直接支払制度や受取代理制度を利用しない場合、「直接申請」をすることになります。出産費用の全額を自分で支払い、出産後に必要書類をそろえて健康保険の窓口に申請し出産育児一時金を受け取る流れです。

直接申請をすると決めた場合、事前に出産費用を準備しておく必要があります。国民健康保険に加入している場合、出産した日の翌日から数えて2年以内に申請しなければなりません。

申請期限を過ぎると受け取れなくなってしまうので、忘れずに申請しましょう。

参考:出産に関する助成制度(出産育児一時金) - 日向市ホームページ - HYUGA CITY

出産育児一時金直接支払制度の手続き方法

出産育児一時金の直接支払制度は、利用可能な病院で利用する意志を示せば簡単に手続きできます。出産育児一時金の直接支払制度を利用したい場合、どのような手続きをすればよいのか見ていきましょう。

手続きの流れ

出産する医療機関で制度の説明を受けた後、被保険者が出産育児一時金の直接支払制度を利用するかどうかを決定します。

利用する場合は、病院に「代理契約に関する合意書」を提出する決まりです。

本人や配偶者が健康保険組合に加入していることや、妊娠4カ月以降に出産を行うことなど、必要要件を満たしていることが前提となります。

合意書の様式は医療機関によって異なりますが、制度を利用するときに書き方の説明を受けられるので不明点があればその場で確認しましょう。

参考:出産育児一時金について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会

出産育児一時金の直接支払制度を利用する際の注意点

出産費用を事前に準備する必要がない出産育児一時金の直接支払制度は、多くの人が利用していますが注意したいポイントもあります。押さえておきたいポイントをチェックしましょう。

出産費用が42万を上回るときは差額を払う

出産育児一時金は胎児1人当たり42万円です。ただし、自宅出産や海外出産をする場合など、産科医療補償制度下の出産に当てはまらないときは40万8000円が支給されます。

出産費用を出産育児一時金だけで賄い切れない場合は、「差額分」を退院時に支払わなければなりません。自費で支払う分の金額を知りたい場合、前もって出産を予定している病院でかかる費用を調べておきましょう。

参考:出産に関する助成制度(出産育児一時金) - 日向市ホームページ - HYUGA CITY

差額を受け取るときにも申請が必要

出産費用が出産育児一時金42万円より少ない場合は差額を受け取れますが、受け取るには申請が必要です。申請しなければ戻ってこないので、忘れないように注意しましょう。

例えば、全国健康保険協会に加入している場合、医療機関等への支給が終了したことを知らせる「支給決定通知書」が届いた後、申請書を提出する流れです。

支給決定通知書が届く前に申請したい場合は、「内払金支払依頼書」を提出します。直接支払制度に係る代理契約に関する文書の写し・出産費用の領収・明細書の写しなども提出の必要があります。

参考:出産育児一時金について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会

クレジットカードのポイントについても確認を

クレジットカード払いに対応している病院で出産する場合で、クレジットカードのポイントが欲しいときは、直接支払制度を利用すると得られるポイントが少なくなるので注意しましょう。

より多くのポイントが欲しい場合、自分で出産費用を支払ってから直接申請をすることになります。

直接申請するときは、直接支払制度を利用していないと証明する書類を医療機関から受け取り、コピーを提出しましょう。

証明が受けられない場合、戸籍謄本・出生届受理証明書・出生届出済証明がされた母子健康手帳などの書類を提出します。

提出書類をそろえる際に文書作成料が必要になることを考慮すると、得られるポイントによっては「思ったより得にならなかった」というケースもあります。注意した上で申請するようにしましょう。

参考:出産育児一時金について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会

まとめ

出産育児一時金を受け取る方法のひとつとして、出産育児一時金直接支払制度がありますが、場合によってはほかの方法を選択することも可能です。

小規模な病院で出産する際は受取代理制度を利用しなければならないこともあるので、出産する病院を決めるときに、どの制度を利用すればよいか確認しておくと安心です。

心配な場合は出産前に費用について、担当医師や病院の窓口で相談することをおすすめします。出産費用が42万円よりも少なかった場合は、健康保険組合の窓口で差額を請求できる点も押さえておきましょう。

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