管理栄養士のともゆみです。突然ですが、卵に表記された「賞味期限」は年間通してパック後2週間と決められているそうです。それじゃあ、時期によってはその日付を過ぎても食べられるの⁉ ふと疑問に思ったら、朝の番組『あさイチ』の特集「エコでお得な食品ロス対策」で詳しく紹介していました。冷蔵で保存している卵の賞味期限って、いったいどのくらいだと思いますか? 意外な解答とその理由を解説していきます。
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賞味期限はパック後2週間とは⁉︎
卵を購入するときに表示されている賞味期限はパック後2週間と設定していますが、「安心して生食できる期間」であり、より安全で新鮮なものを消費者に届けるために実際に生食できる日数よりも短い日数を賞味期限としています(日本卵業協会より)。
そもそも「賞味期限」とは、袋や容器を開けないで、表示された保存方法で保存していた場合の「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のことです。期限が過ぎたらすぐに食べられなくなるというものではありません。ではいったいどのくらいまで過ぎても食べて大丈夫なのでしょうか?
それではクイズです。
冷蔵保存した卵を生で食べられる賞味期限は次のうちどれでしょうか?
A.2週間
B.1か月
C.2か月
↓
↓
↓
正解は…
なんと C.2か月でした。
「卵は10℃を保って冷蔵保存すれば約2か月はもちます」と話すのは、東京農業大学の元教授で 賞味期限や食品の保存について長年研究をされてきた徳江千代子さん。
白身のなかには菌を分解する『リゾチーム』という酵素があり、これが黄身を守っているのだそう。この酵素が保たれていれば、「卵は生で2か月は食べられるんですよ」と番組で話していました。え~、びっくりなんですけど~。2か月でしょ、本当なんですかね⁉
ちょっと勇気をふり絞ってチャレンジしちゃいます!
購入してから1か月過ぎた卵を食べてみた!
卵に書かれている賞味期限を多少過ぎてしまったものを食べたことはありますが、さすがに2か月も過ぎてしまったものは食べたことがありません。そこで、1か月過ぎた卵と賞味期限内の卵を比較してみました。ちょっと恐る恐るですが(笑)。
まずは賞味期限内の卵です。割ってみます。
↓
次は、購入してから1か月過ぎた卵です。
↓
見た目にちょっと違いがありました。1か月過ぎたものは白身の濃い部分が賞味期限内のものに比べると、明らかに薄く少ないです。ですが、それ以外の違いはありません。腐っている感じもしないし、悪臭もありません。
クイズでは生でも食べられるとのことですが、未知の体験なので(笑)、一応火を通すことにしました。
目玉焼きにして食べてみます。
左が賞味期限内のもの、右が1か月過ぎたものです。
「賞味期限内の卵」と「1か月過ぎたもの」をいざ実食!
1か月過ぎた卵を食べてみます。
あ、普通に食べられますね(笑)。古い卵かどうかまったくわからないです。
賞味期限内の卵も食べましたが、賞味期限内の方が白身が濃いからかプリッとしていました。それ以外の違いはわかりませんでした。
結果、1か月も過ぎたものでも普通に食べられますね。
卵の冷蔵保存の注意点
卵の賞味期限というのは…「基本『生』です」と徳江さんは言います。 つまり2か月の賞味期限というのも、生で10℃を保っていることが条件なんです。 さらに、冷蔵のときの注意点があるそうです。それが…
「冷蔵庫のドアポケットに卵を入れるのはNGです」と衝撃のお言葉が!
卵はドアポケットに付いている卵ケースに入れるものなのかと思っていましたが…。
「扉の開閉によって卵が振動するので、悪くなってしまうんですよ」とのこと。
これはNGということですね↓
おすすめの保存方法はパックに入れたまま送風口を避けて、冷蔵庫の奥にしまってください。とのことでした。確かにその方が開け閉めしたときの温度差もなく保存できそうですよね。
では今度からこのように。↓
そして、賞味期限が切れたら、ゆで卵や卵焼きにして食べるのが良いそう。ただし、ゆで卵の場合の賞味期限は4~5日程度だといいます。それは「卵を菌から守っているリゾチームという酵素は火を通すと働かなくなるからです」とのこと。「酵素が卵を守っている状態なら2か月です」とのお話でした。
大事なことだからもう1度言いますね。卵の賞味期限は「生」の状態で10℃以下の冷蔵で2か月です!酵素が卵を守ってくれていることが絶対条件なんですって。
ちなみに徳江さんは、研究者の正しいスタンスとしてすべて実際に食べて、感じて、検証してこの結論を導き出したそう。「酵素の働き」についてのしっかりとした理論に裏付けられた解説をされていました。
卵の栄養は?
卵1個当たり80kcalほどあり、ビタミンCと食物繊維以外の、体に必要な栄養素をすべて含むとされる食材です。特に注目すべき栄養素はビタミンB2、レシチン、コリンです。ビタミンB2は脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜を正常に保ちます。レシチンは体脂肪の分解を助け、コレステロールが血液中から排出され、体全体の血流が良くなります。コリンは血管を拡張して血圧を下げる神経伝達物質の働きがあります。卵自体にコレステロールが含まれているので、多食は禁物ですが、1日1個程度であれば問題はないとされています。栄養価が高い上に消化吸収に非常に優れているため、病中、病後などにも適した食材です。
いかがでしたか?
卵の賞味期限は「安心して生食できる期間のこと」で「食べられなくなる期限ではない」ということがおわかりいただけましたでしょうか? 食品ロス対策のためにも、無駄なく食材を使っていきたいですね。
ただし、賞味期限を過ぎた卵を食べる場合、必ず見た目やにおいなどをチェックして、ちょっとでもおかしいと感じたら食べるのは控えてください。
<参考文献>
『からだのための食材大全』 NHK出版
配信: あたらしい日日
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