●子どもの成功の鍵を握るママのコミュ力
「ママのコミュ力を高めることは、子どものコミュ力を高めることにもなる」と馬場さんは言います。
「人間の脳の大きさが決まるのは0歳から6歳までと言われていますが、この間にその人特有の考え方や癖といった『思考パターン』も決まります。じつは、その思考パターンこそママの影響を最も受けやすいものであり、子どもが将来コミュニケーション力の高い人になれるかどうかを左右することにもなります」(馬場さん、以下同)
そうした影響をしめす興味深い調査結果があるとか。
「ハーバード大学が長期間にわたって、『経済的、社会的に成功している人たちに共通するもの』をリサーチしたところ、『人と温かい関係を築ける能力がある人たちが最も成功している』という結果が報告されました。さらに、そうした人たちに共通しているのが、0歳から6歳までの間にママと温かい関係が築けていたということ。つまりこの時期にママとどのようなコミュニケーションを取り、どのような人間関係を築くことができたかということが、将来に大きく影響するということがいえるでしょう」
馬場さんによると、「温かい人間関係」とは、子どもとママとの間にきちんとした信頼関係があるということを意味するそう。
●親子の信頼に傷をつけかねないコミュニケーションとは?
しかし、日常的な会話から振る舞い、相槌などコミュニケーションに含まれる意味合いは多岐にわたります。そうしたなかでもとくに影響を受けやすいママのコミュニケーションにはどのようなものがあるのでしょうか?
「子どもはとても敏感なので、ママが日常無意識に使う口癖、どんな気持ちで会話しているか、言葉の裏にあるものを感じ取ります。また、パパとママが子どもの前でするやり取りからも影響を受けているのです」
つまり、日頃からママのコミュニケーションを見て、影響を受けているということになるようです。では、そうしたコミュニケーションにおいて、気をつけるべきことはどのようなことが考えられるでしょうか?
「日本人のママ特有のコミュニケーションにおける悪い癖というものがあります。たとえばママ友が自分の子どもを褒めるとき。『Aちゃんダンスとても上手だったね』と言うと、『そんなことないわよ。Bちゃんの方が上手だったよ』と切り返すことがよくあると思います。子どもが近くにいる場合、その会話を聞いて、『ママはそんな風に私を見ているんだ』と感じてしまい、親子間の信頼関係に悪い影響を与えてしまいます。もし子どもが人に褒められたときは素直に喜びを言葉で表現するべきだと思います。こうした事例も含めて対外的なコミュニケーションというのは、とくに気を配る必要があると言えるでしょう」
本当は我が子が褒められて嬉しいはずのところを、謙遜してしまうのは、確かにママ友同士の“あるある”コミュニケーション。しかし、子どもにとって一番身近な存在であるママの影響力の大きさを理解したうえで、日頃のコミュニケーションに子どもへの気配りをプラスした方がいいのかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)