ママのコミュ力、どうやって鍛える?

第2回 ママに求められるコミュ力とは?
「自分のコミュ力に自信がない」「人付き合いが苦手」というママたちも多いかもしれません。しかし、コミュニケーションというのは人間関係を円滑に構築するうえでも欠かせないもの。その能力は他人だけではなく子どもと良好な親子関係を育むうえでも必要となってくるはずです。

では、コミュ力を鍛えるにはどのような方法が考えられるでしょうか? 「マザーズコーチングスクール」の馬場啓介さんに聞きました。

●対自分のコミュニケーションを意識化する

馬場さんいわく、「コミュ力向上の第一歩は自分を見つめ直すことからスタートするべき」とのこと。

「ママのコミュ力を上げる効果的な方法としては、自分がしているコミュニケーションを“意識化していく”ということです。無意識に言っていること、やっていることを意識するようにして客観的に見直してみることです。すると言葉の選択が変わってきます。それを繰り返す事で、確実に対人関係におけるコミュ力も高まるといえるでしょう」(馬場さん、以下同)

コミュ力と聞くと対人関係をどうスムーズにこなすか、ということを思い浮かべがちですが、まずは「自分とのコミュニケーション」を意識して見直すことが大事なようです。

また、自分とのコミュニケーションにおいて大事なのは、ネガティブな質問を投げかけないことだと言います。
 
「人間の脳というのは、おもしろいことに『答え』を勝手に探し続ける機能があるんです。たとえば、『どうして私、振られたのだろう?』のように、相手に聞かなければ分からない、かつ相手も答えられないようなネガティブな質問を自分に対して延々としてしまうことです。このように、ネガティブかつ答えの出ない質問を自分にたくさん投げかけてしまうとコミュニケーション能力を下げることになります」

そこに、自分に対するコミュニケーションの意識化を取り入れると、プラスの変化が表れるようになるそう。

「ネガティブな質問をプラス志向にシフトしていく癖をつけることが大事なポイントです。たとえば、『どうして私はいつも間違ってばかりなんだろう?』というネガティブな質問が沸いてきたら、『どうしたら間違わずに済むんだろう?』と意識的に変えてみる。このように質問を意識化して、プラス志向に上げていくことで、ママ自身の『自己肯定感』をアップすることにもつながるのです」

●ママのコミュ力を下げるNGワードとは?

子育てというのはママのコミュ力を高めるまたとない機会だと馬場さん。そうした貴重な機会を無駄にしないためにも、自己肯定感を高めることに重きを置いて欲しいといいます。

「子育てというのはあらゆるコミュニケーションを通して、毎日子どもと対峙していく作業です。そうした意味からも子育て以上に自分のコミュ力を磨くいいチャンスはないでしょう。しかし、『ママはこんなに頑張っているのになんで子どもは分かってくれないんだろう?』というようなネガティブな質問をしても、自己肯定感を下げるだけです。ともすれば、知らず知らずのうちに子どもにそうした思考がうつってしまいかねません」

自分では気がつかなくても、そうした思考は何気ない日々の口グセに表れるようになるとか。

「ママがネガティブな質問を自分に投げかけてばかりいると、全体的な自己肯定感が下がり、『どうせ私なんて無理よ』『私にはできない』という言葉を使いがちになるのです。すると子どもにも同じような思考パターンが刷り込まれていき、『どうせ自分には無理だ』という思考パターンが出来上がってしまうのです」

とくに、0歳から6歳までは、ママの何気ない言動が何よりも子どもに強い影響を与えているため、いくら口では「あなたの可能性は無限よ」と言っていても、「ママ自身は可能性が無限だとは思っていない」ということが透けて見えてしまうのだとか。それによって、子どもは「可能性なんて無限じゃない」ということが思考に植え付けられてしまうそう。

ママのコミュ力、どうやって鍛える?

コミュニケーションというのは言葉だけではなく、振る舞いや行動も含めて、すべてにその人の思考が滲み出てしまうもの。そのためにも、小手先のテクニックではなく、まずは“対自分”とのコミュニケーションを意識することが、真のコミュ力を鍛える近道だといえるのかもしれません。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

馬場啓介
馬場啓介
法政大学卒。2006年株式会社コーチ・エィ入社。2009年トラストコーチング設立。プロコーチ育成の他、マザーズコーチングスクール等3つのコーチングスクールを全国展開。法政大学専任講師。2児の父。
法政大学卒。2006年株式会社コーチ・エィ入社。2009年トラストコーチング設立。プロコーチ育成の他、マザーズコーチングスクール等3つのコーチングスクールを全国展開。法政大学専任講師。2児の父。