●花粉を食べれば花粉症が治る!?
“アレルギー物質を少しずつ摂取すれば、いったん発症した食物アレルギーが治る可能性がある”という治療法から考えると、「花粉を食べたら花粉症が治る」という理屈になる。実際、そんなことはあり得るのか。
「スギ花粉症の根治療法“舌下免疫療法”は、花粉の成分が入った液体を舌の粘膜から投与する方法です。花粉が飛び始める3カ月以上前から花粉の成分が入った液体を舌の裏側に垂らします。これを毎日行うだけなので、とっても簡単な免疫療法です。千葉大学医学部が行った実験では、舌下免疫療法によって、くしゃみや鼻水など何らかの症状が改善した人が70%近くいました。完全に花粉症の症状が消えたという人は2割。しかもこの免疫療法で初年度に効果があった人は、2シーズン目、3シーズン目でさらに効果を上げる場合が多いと言います」(坪田氏 以下同)
●花粉症の治療研究が進歩
実は花粉を体内に入れることで、花粉症自体を改善させようという研究は以前からあり、花粉成分を体内に注射する方法も存在する。だがこの場合、毎回通院しなくてはならない上に、患者には注射のストレスがかかる。舌下免疫療法は、自宅で出来る上に保険も適用され、気軽に始められる。すでに、日本全国の病院で始まっているのが現状だ。
舌下免疫療法は、花粉症じゃない季節に治療をスタートするため、夏前から開始している病院が多く、少なくとも11月頃までに治療を開始しないと間に合わない。海外では、5歳から行う国もあるが、日本では12歳からとなっている。他にも様々な条件があり、治療出来ない人もいるが、毎年つらい花粉症で悩む人は、一度調べてみてはいかが?
(取材・文/谷亜ヒロコ)