薬味とはいったいどのようなものでしょうか?
薬味とは料理に少量添える香味野菜や香辛料のことであり、江戸時代に薬味という言葉が広まり、大根おろしやわさびなどがうどんの薬味として使われるようになったといわれています。
「薬味」という名前の由来は古代中国で生まれたと考えられており、元々は漢方薬として使われる生薬のことを指しています。日本は諸外国に比べ食文化におけるスパイスの発達がなかったため、代わりに薬味が食材の保存性や殺菌効果を持たせるものとして、昔から使用されるようになったといわれています。
薬味に期待できる効果は大きく4つあります。
1. 胃を保護して体を温める(ショウガなど)
2. 肉や魚の匂いを抑える(ショウガ、みつば、せりなど)
3. 薬味の香りで食欲を高める(ゆず、ショウガ、しそ、ねぎなど)
4. 殺菌作用で保存性をあげる(わさび、ショウガ、しそなど)
また料理の味を引き出す効果にも期待できます。
効果は主役級!? 薬味が夏に最適な理由
薬味は一年中料理に欠かせない物ですが、特に夏におすすめな理由をご紹介します。
【夏バテ対策】
夏の暑さで食欲が落ちると、夏バテになりがちです。例えば食欲がない時、ねぎやわさびが添えてある蕎麦と薬味のないもの、どちらを選びますか?薬味と一緒に食べることで食欲が出てきた経験はないでしょうか。薬味には食欲を増進させ、夏バテを防ぐ効果があるといわれています。
【冷え対策】
暑さで体を冷やす食べ物や飲み物を多くとり過ぎて、夏の体は冷えている傾向にあります。薬味には体を温めるものがあり、冷えの改善に効果的と考えられています。
【食材の殺菌作用】
気温が高いことで食品の劣化が早くなり、食あたりなどになりやすい季節です。薬味である香味野菜が食材の殺菌効果を発揮し、食あたりを防ぐといわれています。
暑い日本の夏を乗り切るには、薬味は不可欠なものでしょう。
夏が旬の薬味として使われる香味野菜とその効果について
数多くある薬味の中でも、夏が旬のものがあります。多くの野菜が一年中手に入るようになりましたが、やはり旬の時期のものは一番栄養価が高いと考えられているため、旬を意識して食材を選ぶことも重要です。
薬味として使われる野菜の中でも夏が旬の野菜はこちらです。
【みょうが】
ショウガ科ショウガ属の野菜で、7〜8月と9~10月の2回旬があります。むくみをとるカリウムやマグネシウム、カルシウム、鉄や食物繊維などが含まれています。実は平安時代から食べられていたといわれており、みょうがを食材として栽培しているのは日本だけだとか。独特の香りはアルファピネンというもので、ひのきと同じ物質で血液の循環をよくするといわれています。
【青ネギ】
一年中流通しているネギの中でも緑の葉の部分が多いものを青ネギといい、一般的には葉ネギと呼ばれています。旬は3~7月で、長ネギよりも抗酸化作用が高く、活性酸素から体を守るカロテンを多く含んでいます。香りの成分である硫化アリルは消化液の分泌を促すといわれています。
【青しそ】
古来から日本に自生する「和風ハーブ」。旬は6~9月で昔から殺菌効果がある野菜として知られています。ベータカロテンの含有量は野菜の中でもとトップクラスで食欲増進効果があるといわれている香りは「ぺリルアルデヒド」という成分に由来しています。細かく刻むことで殺菌効果が高まるそう。
いかがでしたか。薬味が暑い夏を乗り切るための強い味方になってくれることが分かって頂けたかと思います。上手に薬味を取り入れてみてはいかがでしょうか。