どの調味料を使う場合も味をつけすぎず、仕上げに味見を
すべての味つけの基本は塩です。野菜、肉、魚の下処理に必要ですし、何より食材のうま味を引き出すので、塩の使い方を知れば、味つけがうまくいくんです。例えば、小松菜の塩炒め。小松菜に塩をふるのではなく、油に塩をなじませてから炒めることで、まんべんなく味がつき、塩の入れ過ぎも防げます。中火で茎から炒め、葉を加えてサッと炒めあげれば、おいしく仕上がりますよ。
主に使っている塩は沖縄の「粟国の塩」。絶対にコレというのではなく、近所のスーパーで売っているから(笑)。手に入りやすい天日塩を使えばいいと思います。
しょうゆは、香りを生かすためにも使うタイミングが大事。野菜の煮物をつくる時は、最初に砂糖と酒で味をつけ、野菜を煮て、最後にしょうゆを加え一気に煮詰めます。野菜がやわらかくなっているので少しのしょうゆでも味を含み、濃くならずに済むんですよね。大きいボトルのしょうゆを買ってしまうと、使い切る頃に味や香りが変わってしまうので、小瓶を購入しています。もったいないかなとも思うのですが、やっぱりしょうゆがおいしくないと料理はうまくできないですから。
みそは奥深さを出してくれる調味料。煮つけやホワイトソースにみそをほんの少し加えるだけでコクが出るんです。みそを溶かしてから食材にからめたり、油となじませてから炒めると味が全体に行きわたります。白みそと合わせみそがあれば便利ですね。
どの調味料を使う場合も、最初に味をつけすぎないことが大切。また、どうしても最初に味を決めようとしがちです。でも、調理の途中に素材のうま味が出ておいしくなることもあるので、食べる直前に味を確認し、調整しましょう。
地元の野菜で楽しみなのは田んぼの畔で取れる「たのくろ豆」
これからの季節は、チンゲン菜やほうれん草などの青菜やきのこがおいしいですよね。塩味だけでつくるおひたし、ごま油と塩の炒めもの、塩・にんにく・ごま油であえたナムルなど、塩の使い方によって簡単におかずのバリエーションが広がります。しいたけやまつたけを焼いて、塩をパラッとふるだけでも、おいしく仕上がりますよ。
その際、自然塩を使うと湿り気があるので表面に塩が固まってしまうことも。気になるようであれば、ひと手間ですが、フライパンや鍋で炒って水分をとばしてから使うといいでしょう。いまの時期なら一度つくっておくと、日持ちすると思います。
フライパンに油を熱してから塩を落とし、野菜を炒めると味がしっかりなじみます。
葉山に引っ越してきたのは17年ほど前。家族も友人もいない見ず知らずの土地だったので、地元の食材を知ったのは住み始めてから。魚屋さんに通ったり、直売所や市場を見つける中で、おいしい魚や季節の野菜を知り、地元の方とのつながりもできました。
葉山の野菜で一番心待ちにしているのは、田んぼの畔(あぜ)で栽培される枝豆「たのくろ豆」。すごくおいしくて、地元の人たちがこぞって買い行くので、すぐに売り切れてしまうんです。収穫時期は一瞬で、天候によっても変わるので、毎日、直売所に通わないと手に入らないんですよね。
この時期、直売所には、おろ抜き大根といって、間引いた大根の葉だけが売られています。青々しく水分があり、やわらかくておいしいんです。しかも、とてもリーズナブル。葉をきざんでじゃこと炒めたり、餃子のタネに入れることも。大根の葉はいろいろな調理に使えるので、大根を買う時は、必ず葉付きを選んでいます。
配信: たべぷろ