卒乳と断乳の違い
赤ちゃんがミルクを飲まなくなることを「卒乳」といいますが、似た意味の「断乳」という言葉もあります。それぞれの言葉がもつ意味の違いや、卒乳のパターンを見ていきましょう。
卒乳は自然に母乳・ミルクから卒業すること
卒乳とは文字通り、「赤ちゃんが自然に母乳やミルクから卒業すること」を意味する言葉です。
なかには、自然な流れでの卒乳を「自然卒乳」と呼び、赤ちゃんの卒乳を促す方法を「部分的卒乳」や「計画的卒乳」と呼び分けているケースもあります。
部分的卒乳とは、1日の授乳回数を減らすことで、ミルクの代わりに飲料水や離乳食などを与える方法です。計画的卒乳では、事前に決めた時期に合わせて卒乳できるよう、授乳量・回数を段階的に減らしていきます。
参考:これで安心!断乳・卒乳ケアの正しい方法と定義 | 断乳・卒乳ケアの全て!
断乳は親の判断で母乳・ミルクをやめること
卒乳(自然卒乳)があくまでも赤ちゃんの意思に基づいているのに対して、断乳は「親の意思によって卒乳を決める」のが特徴です。
親がタイミングを決めるという点では、部分的卒乳や計画的卒乳も断乳の一種と捉える場合もあります。一方で「いきなり授乳をストップするケース」のみ断乳と呼ぶこともあり、言葉の捉え方は人によっても異なるようです。
以前は母子手帳に断乳の項目があり、1歳児健診や1歳半健診で進行状況を確認されることがありました。しかし、2002年4月改訂時に削除されており、現在は各家庭の判断に委ねられています。
ママの体調や仕事の都合など、母乳での育児をやめる理由は多岐にわたるため、周りと同じタイミングにする必要はありません。
参考:これで安心!断乳・卒乳ケアの正しい方法と定義 | 断乳・卒乳ケアの全て!
卒乳するタイミング
赤ちゃんが成長するスピードはそれぞれ違いますが、卒乳のタイミングが気になる人も多いのではないでしょうか。卒乳の目安となる時期を解説します。
卒乳の一般的な時期とは?
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」によると、離乳食を食べるようになる1~1歳半ごろが「離乳」の時期とされています。
離乳とは、ミルクから幼児食へと移行していく時期のことです。離乳の開始を境に母乳やミルクをまったく飲まなくなるという意味ではないため、卒乳とは意味が若干異なりますが、卒乳を意識する時期の目安の1つとなるでしょう。
卒乳のタイミングは、赤ちゃんによって異なります。早く卒乳している赤ちゃんを見ると、つい不安になるかもしれません。どの子も、いつかは母乳を卒業するものなので、焦らずにじっくり待ちましょう。
参考:2歳半の男の子ですが、未だに卒乳しておらず、自然な感じでやめれたら- 子育て | 教えて!goo
赤ちゃんから卒乳のサインはある?
初めは母乳やミルクだけを飲んでいた赤ちゃんも、離乳食が始まると少しずつ食べものをかむ練習をしていきます。離乳食や飲料など、ミルク以外のものをとるようになったら卒乳を始めるサインです。
ずっとミルクを飲んでいると、なかなか離乳食を食べてくれないケースもあります。ミルクでおなかがいっぱいになっている赤ちゃんは、授乳をやめることで離乳食の量が増えるケースもあるようです。
コップなどで水分がとれたり、毎日3回食事ができたりするまでに成長したら、卒乳を考えてもよいでしょう。計画的卒乳をする際には、赤ちゃんの成長を待つのも大切なポイントです。
計画的卒乳(断乳)のやり方
仕事に復帰したいなどの理由で、計画的卒乳(断乳)を考えるママも多いようです。卒乳・断乳を始める前に、準備・やり方やコツをチェックしていきましょう。
計画的卒乳(断乳)の準備
計画的卒乳(断乳)を始めようと思ったら、まずは赤ちゃんにもそのことを伝えてみましょう。突然授乳をやめてしまうと、赤ちゃんが受け入れられず、うまくいかない可能性があります。
「そろそろおっぱいは終わりだよ」「いつか飲まなくなるんだよ」などと、何度も言い聞かせておくことが重要です。カレンダーに印やシールを付けて、やめる日まで一緒にカウントダウンすることで、心の準備を進める方法もあります。
月齢が低く言葉が通じない時期の赤ちゃんの場合は、いつもあげていた時間にあげないことで感覚的に理解させていくしかありません。ただ、その場合も「ばいばいしようね」など身振り手振りをしたり、服を閉じて授乳の意思がないことを示したりします。
いずれの月齢でも、卒乳を嫌がる赤ちゃんはいます。開始後の反応を見ながら、実際に卒乳を始める時期を考えていくのがおすすめです。
授乳回数を徐々に減らしていく
計画的卒乳をする際は、1日の授乳回数を少しずつ減らしていくのが一般的です。昼間にミルクを飲ませたり、働いている人は夜だけ授乳したりと、ママの都合に合わせて授乳を行います。
赤ちゃんが母乳を飲みたがったときは、日中は外に連れ出したり、夜は絵本の読み聞かせなどであやしたりして気を紛らわせましょう。
授乳しない時間帯には、赤ちゃん用の麦茶や白湯など、母乳以外の水分を与えます。お腹が空いている場合には、おやつをあげると落ち着くこともあります。
親子の健康のためにも、段階を踏んで授乳の回数を減らすようにすると効果的です。いきなり授乳をやめた場合、乳房が張るなどのトラブルが起こるリスクが上がる危険性があることを覚えておきましょう。
参考:これで安心!断乳・卒乳ケアの正しい方法と定義 | 断乳・卒乳ケアの全て!
卒乳・断乳時のおっぱいのケア
計画的卒乳をした際には、自然卒乳の場合とは異なり、おっぱいのケアが必要になります。卒乳の後も母乳は作られ続けているため、乳房を冷やしたり、搾乳したりとケアの習慣をつけるのが大切です。
授乳の回数を減らした影響で、おっぱいの張りを感じる人も多く存在します。痛みが長く続くのが気になるようなら、念のため病院に相談してみましょう。
搾乳については、産後に助産院などでやり方を聞く機会もあります。また搾乳器を使うかどうかも、病院で質問してみるとよいでしょう。
参考:卒乳や断乳後のおっぱいケアは必要? - 浜松市子育て情報サイト ぴっぴ
卒乳する際に気をつけるポイントとは?
卒乳をするときには、赤ちゃんはもちろん、ママの体調に気を配ることも大切です。卒乳時に覚えておきたい注意点を見ていきましょう。
ママ・赤ちゃんの体調がよいときに進める
卒乳を始めるタイミングとしては、親子とも体調が安定しているときがおすすめです。疲れているときは体力が落ちているため、卒乳が乳房のトラブルにつながる危険性があります。
体調が安定していると気持ちも落ち着くため、赤ちゃんもスムーズに卒乳を受け入れられる傾向にあります。季節の変わり目など、元々体調を崩しやすい時期を選ぶのは避けておきましょう。
赤ちゃんが成長すると、病院に行ったり、入園の手続きをしたりとイベントも多くなります。卒乳中に風邪などをひかないように、体調管理を意識することも必要です。
赤ちゃんの水分補給に気をつける
赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むことで、栄養だけでなく水分も体に取り入れています。そのため、授乳をやめることで水分が不足してしまい、脱水症状の原因になるケースもあるといわれています。
ミルクに含まれている水分を摂取するには、母乳の代わりとなる飲みものが必要です。赤ちゃん用のコップやマグを利用して、容器から飲む練習をするのがおすすめです。
ただし、脱水症状の予防といって、必要以上に水分補給をさせるのは控えましょう。こまめな水分補給も大切ですが、水を飲みたがらないときに無理に飲ませる必要はありません。
スキンシップや声掛けも忘れずに
赤ちゃんへの授乳は、親子が触れ合うスキンシップの時間でもあります。卒乳をすると赤ちゃんが不安を感じることもあるので、動揺させないようそれまで以上に気を配りましょう。
積極的にスキンシップをしたり、言葉を掛けたりなど、接し方を変えてみるのも効果的です。体に触れたり抱っこしたりと、直接触れ合うことで赤ちゃんの気持ちも安らぐでしょう。
また、赤ちゃんに対する愛情を言葉で表現することも大切です。やさしい声掛けを意識して行うと、卒乳した後も赤ちゃんが安心して過ごせるでしょう。
参考:断乳時の子どもとのかかわり方は? - 浜松市子育て情報サイト ぴっぴ
まとめ
卒乳には、赤ちゃんのタイミングに合わせる方法と、ママのタイミングに合わせる方法があります。自然な卒乳だけでなく、急ぐ事情がある場合は計画的な卒乳を考えてみるのもよいでしょう。
当たり前のことですが、赤ちゃんの成長には個人差があります。卒乳が赤ちゃんのタイミングよりも早すぎると、赤ちゃんがぐずってしまい、授乳を再開するというパターンも珍しくありません。
卒乳を始めるなら、赤ちゃんがミルク以外の食事がとれるようになったタイミングが目安です。こまめな水分補給や、親子の体調に気をつけながら卒乳に取り組むことをおすすめします。