「龍の羽 時色」の名物メニューは、ラーメンスープを雑炊にする「釜焼き雑炊」。鈴木竹信店主によると、「通常のラーメンライスは、最後にご飯を入れるときにどうしてもスープが冷めた状態になってしまう。これを改善したかった」として、熱々の雑炊風に食べられるこの提供を思いついたという。
釜焼き雑炊 琥珀醤油 330円 貝出汁三六九 450円(すべて税込み) 熱々の釜ご飯に卵を落とし、スープを注ぐとジューッと音が立ちテンションMAX! このスタイルは、ラーメンライスの醍醐味をシンプルに究めた一つの完成形といっていいだろう
同店の定番ラーメンは「琥珀醤油そば」と「貝出汁三六九」の2種類があり、これらのラーメンに「残りスープ専用雑炊飯」をセットで注文できる。いわゆるラーメンライスだが、その他「ラーメンスープ+ご飯」を主役にした「釜焼き雑炊」というメニューを打ち出しているのがユニークだ。専用の小さな釜に白飯約180gを入れ、2分ほど加熱してからラーメンスープと共に熱々の状態で提供する。
スープを注ぐとぐつぐつジューッと音と香りが立ち、ちょっとした調理気分が楽しめるのも魅力だ。琥珀醤油スープは魚系のだしに比内地鶏と香味野菜を煮込み、貝だしスープは貝類やポルチーニ茸などで味のベースを作っている。どちらも独自の手法で仕込んだ自家製スープで、「ラーメン専門店ならではの雑炊」の完成されたおいしさが味わえる。
釜ご飯、ラーメンスープ(写真は琥珀醤油)、生卵、薬味のセット
これまで「食べきれない」と追加ライスを断念し、ラーメンライスの醍醐味を味わったことがないという人は、実は意外と多いだろう。そんな人にとって同店のこのセットは、ありがたい。「ラーメンはカロリーが少し心配、という女性客などにも、『このぐらいのご飯の量ならちょうどいい』と好評ですよ」と、鈴木店主は言う。
琥珀醤油そば 600円(税込み) ラーメンに「残りスープ専用雑炊飯」を付ける場合はプラス150円。お客がラーメンを食べ終わる頃合いを見計らって熱々の釜ご飯を提供
「おいしいラーメンをただ普通に出すだけでは面白くない」として、今後も新しい提案をしていくという同店。ラーメンというと、スープや麺、チャーシューなど、既においしさが追究し尽くされている観があるが、同店のように視点を変えれば、ラーメンの別種の魅力を打ち出すこともまだ十分可能というわけだ。
●店舗情報
「龍の羽 時色」
所在地=東京都新宿区西早稲田3-13-2/開業=2022年/営業時間=11時30分~21時30分。不定休
◇日本食糧新聞の2022年9月5日号の記事を転載しました。
配信: たべぷろ