●トラブルが起きたら、まずは“お願いスタイル”で!
そもそも、独身の夫の兄姉の面倒を見る義務はあるのでしょうか?
「義務というのは、その立場において当然しならければならない務めのことですから、夫の兄姉の面倒をみるという義務はありません。“夫の兄姉の行く末が不安”という感覚は、“兄姉の将来に自分が責任をとるべきである”と考えているから起こるのです。ですが本来は、義務もなければ責任もありません。これを義務や責任と捉えてしまう人は、自分以外の人の人生までも責任をとらなくてはいけないと考えてしまう傾向があり、これには罪悪感が深く影響しています。例え、兄姉の将来があまりよくないものであったとしても、あなたに罪はありません。大人であるならば、自分の人生にのみ責任をとる必要があり、例え兄弟であっても、責任をとることはできないのです」(大門氏 以下同)
大門氏のアドバイスに、すでに心が軽くなったママもいるのでは? さらに具体的な事例にアドバイスしてもらった!
ケース1:義母が亡くなるとき、夫の兄の面倒を見るように頼まれました。子どももいるし、私はそこまで責任を負う必要はないと思うのですが、どう割り切ればいいのでしょうか?
「先にも述べましたが、自分以外の人の人生の責任をとる必要はありませんし、とれません。面倒をみる=責任を負うと考えてみてください。責任を負うと自分自身が決断するのであれば、面倒をみればいいと思いますが、責任を負うことができないと判断するのであれば、まずは自分自身が“私にはできない”という事実を受け入れる必要があります。義母が言ったから、そうするのが当たり前だからと、様々な理由でみたくもない兄姉の面倒をみる人がいますが、誰かのせいにするのではなく、自分が責任を負うと決めるのかどうかなのです」
ケース2:夫の兄は単身で、「独身の俺には無理だから、お前たちが両親の面倒をみろ」と端から放棄しています。将来、次男である夫と私が義母たちの面倒を見なければならないのでしょうか? もしも兄を説得するとしたら、どう話せばいいのでしょうか。
「お兄さんを説得するのは、あまりよい考えではないですね。人間は、“やれ”と言われるとコントロールされているようで、拒絶反応が出ますが、その一方で、自分でやろうと思ったことは、すんなりできてしまうものなのです。お兄さんに“長男であるあなたが、親の面倒をみるべきだ”と言ったら、間違いなく拒否反応を示すでしょうね。実際にご質問者の方も、お兄さんに“お前たちが面倒をみろ”と言われたから拒否反応が出ているのです。命令されるのではなく、もしもお願いされたとしたら、人の心に拒否反応は出ません。説得するのではなく“お願いスタイル”をお勧めします」
最後に、将来に不安を抱えるママたちにメッセージを!
「どんな問題であっても、夫婦間のコミュニケーションが一番大切です。例え夫婦の意見が一致していなくても、2人のやり方を見つけていけるように、普段からお互いの意見を話し合える夫婦関係を作りましょう。きちんと夫婦のコミュニケーションがとれていれば、兄弟間で起きる問題も、きっと2人で解決し、乗り越えていけるはずです」
まずは、今から起こり得るトラブルに備え、夫婦間のコミュニケーションを強化すること。そして、人は自分自身の人生の責任しか負えないこと…例え兄弟であっても、面倒を見る義務がないことをしっかりと肝に銘じておこう!
(取材・文/吉富慶子)