●おばあちゃんは“生きていく太い術”を持っていました
――お金よりも義理と人情! 風間さんのおばあちゃんから、「ママテナ」読者が学ぶことは多そうです。
「うちのおばあちゃんは本当に適当でしたからね(笑)。適当なんですけど、“生きていく太い術”みたいなものは持っていて、そこはブレてなかったし、“何事もお金じゃない”といつも口癖のように言っていました。今は、お金がないとなかなか生きられない社会になりましたけど、昔は“お金がなくても何とかなる”みたいなところがあって、どんなに貧乏でも、近くには緑や多摩川があったので、僕はそこで時間をつぶしたり、遊びを作り出したりして過ごせました。友だちが持っているマンガを“いいな”と思えば、“いつ頃捨てるかな?”と考えを膨らませたり…(笑)。おばあちゃんは、いつも明るくてくよくよせずにあっけらかんとしていたので、幼かった僕は、“みんなこんなもんなのかな”という受け止め方ができたんだと思います」(風間さん 以下同)
――映画館の切符切りのおじさんや、河原でホットドッグを売る夫婦など、風間少年は、外の世界でも様々な大人に助けられていますね。
「雑草やカマキリを食べるくらい貧乏だったし、中学生くらいまでは常に空腹。人と関わることで救われました。映画館に内緒で入れてくれたり、キャベツを刻む代わりにホットドッグにありつけたり…。おそらく見た目で貧乏だとわかるので、大人たちは、みんな僕に同情したんだと思います。でも幼心に、そういう温かい出会いは大切にしようと思いました」
――おばあちゃんが、行商の人からカニを買い取り、近所中に振る舞うエピソードも、豪快で感動しました。
「おばあちゃんは、例え他人でも“来るもの拒まず”という感じで、大変懐が広い人でした。ひょっとすると、自分が大変な状況だということにも気づいていなかったのかも。困っている人に自分の食べ物をあげてしまうこともあったし、常に気配りの人で、そんなおばあちゃんの姿が、いい見本になりました。行動で示すタイプの人だから、“こうだああだ”は一切言わないんですけど、“何を言われても気にしない”という姿勢は教えてもらいましたね。芸能界にいる僕にとっては、とても役立っているような気がします(笑)」
――最後に、本の見どころを!
「楽しく笑って読んで頂けたらいいですね。面白話として書いたので、皆さんに笑って頂ければ本望です。先日も、お母さん方から“これは子どもに読ませたい”と言って頂けたので、ぜひお子様方の感想も聞きたいです。お母さん世代はもちろんですが、若い人にも読んでもらいたいですね」
(撮影/篠山チキン 取材・文/蓮池由美子)