だが憂鬱になるだけではなく、自分の子どもが夏休み明けに「学校へ行きたくない」と言い出したら、親はどうすればいいだろうか? 小中高生の不登校がもっとも急増するのは“夏休み明け”ともいわれ、親としては気になるところだ。
●親に「学校に行きたくない」とはっきり言える子どもはほとんどいない
しかし「NPO法人不登校を考える全国ネットワーク」代表理事として30年以上、不登校問題に携わってきた奥地圭子さんはこう話す。
「不登校になる子で、『学校へ行きたくない』とはっきり言える子はほとんどいません。なぜなら子どもにとって学校は『絶対に行かなくてはいけない場所』であり『休むのは悪いことだ』と信じているからです。ですから、多くの子は別の方法で訴えます」(奥地さん 以下同)
奥地さんによると、子どもが学校に行きたくないときの代表的な初期サインは「おなかが痛い」「気持ちが悪い」といった身体症状の訴えだという。
「それ以外ですと、朝起きないとか、『宿題やっていないから学校に行けない』などと言い出すとか。でも多くの親はそういうとき、子どもの言葉通りに受け取って『途中でつらくなったら保健室に行けば大丈夫』『連絡帳に事情を書いておくから大丈夫』というような解決法を提示しがちです。そうすると子どもは、しぶしぶ学校へ行くことになります。でもこれは根本的解決法ではありません」
●子が「学校へ行きたくない」と言ったら、その気持ちに耳を傾けよう
親としては無意識に解決法を提示してしまうし、結果的に「学校へ行きなさい」と促してしまう。それが良くないとすれば、一体どうすればいいのか?
「親だからといって子どものすべてをわかっていると思ってはいけません。親がするべきことは、とにかく子どもの話を聞くこと。我慢強く会話を重ね、子どもの奥底にある気持ちに耳を傾けてください。そして、その状況によっては親も『学校を休もうか』と言ってあげられる勇気を持つことです」
奥地さんは「子どもにとって学校は『絶対に行かなくてはいけない場所』だと信じている」と語ったが、実は親もそう考えている。だから焦ってしまうが、その焦りがさらに子どもを委縮させてしまうというのだ。
親が求められるのは、じっくり構える気持ち。そして、ときには学校生活の小休止を入れる勇気を持つことも必要だ。
(高山恵+ノオト)