先日、息子が通う園から「近隣で“タヌキ”を見かけた、子どもが“タヌキ”に追いかけられたという目撃情報が相次いでいる」と、区役所からの注意喚起の共有がありました。そういえば去年の今ごろ、都心で雪が降った翌日の朝に窓を開けたら、お向かいの大きな家の屋根にいる“ハクビシン”と目があってしまったことを思い出しまして、今回はそんな【都会で生息する野生動物】について考察してみようと思います。
犬でも猫でもない…街中で見かけたのはこの野生動物かも!
「猫みたいだけど、なんか違う!?」「不思議な動物が電線を伝って歩いていた!」などといった経験をされたこと人もいるのでは? その謎の動物、実はタヌキやハクビシン、アライグマかもしれません。
タヌキといえば、里山に暮らすイメージが強いですが、日本固有の在来種。東京23区内にはもともと1000匹ほどのタヌキが生息しているといいます。最近でもJRの新宿駅構内を悠然と歩くたぬきが話題になりましたよね。タヌキの行動範囲は狭く、半径数百メートルほどに収まることが多い上、肉食ではありながら果実や昆虫も食べることから、夜に閉鎖される緑地公園などがあれば十分暮らしていけるのかもしれません。
一方、目撃情報や相談件数が年々増加しているというハクビシンやアライグマは外来種。もともと日本に生息している生物とは性質が異なるため、生態系に被害を及ぼす恐れがあることが知られています。ハクビシンもアライグマも非常に繁殖力が高く、糖度の高い果物や野菜類を中心にさまざまな農作物への被害を及ぼすことがあります。また、床下や屋根裏から侵入され、人家に住み着かれてしまう場合も。この場合、物音、家の汚損・破損といった被害のほか、フンや尿の細菌がアレルギー症状や皮膚病を引き起こす原因となってしまうこともあるようです。
【タヌキ、ハクビシン、アライグマ】の見分け方
この3種類の動物は一見するとよく似ていますが、はっきり異なる見た目の特徴があります。
<タヌキの特徴・生態>
分類
ネコ目(食肉目) イヌ科 タヌキ属
大きさ
体長70~80cm、体重は3~5kgほど。
見た目の特徴
ずんぐりとした茶色のボディで足が短い。
耳のフチや目から下、足先が黒い。
しっぽが短く先端が黒い。
4本指で犬に似て肉球があり、手先は器用ではない。
分布・目撃例
都内各所で生息。皇居周辺・上野公園・明治神宮などでも目撃例あり。
行動
夜行性。雑食で果実や種子、昆虫や小動物を食べる。
<ハクビシンの特徴・生態>
分類
ネコ目(食肉目) ジャコウネコ科 ハクビシン属
大きさ
体長60〜65cm、しっぽの長さ40〜45cmほど。
脚は短く、胴体は細長い。
体重は3kg程度。
見た目の特徴
鼻先に向けてとがった顔立ちで、「白鼻芯」のとおり、額から鼻にかけて白い線のように毛が生えている。
鼻はピンク色が多い。
5本指で犬に似て肉球があり、鋭い爪を持つ。
分布・目撃例
原産は、東南アジア・台湾・マレー半島などの南方系の動物。古くは江戸時代にボルネオ島から持ち込まれた記録があり、戦時中にも毛皮用に輸入されていた。日本全国で分布が確認されていて、東京23区内の生息数も増加している。
行動
夜行性。水路や側溝を使ったり、電線、屋根などに登り伝って移動する。日中に過ごすねぐらは複数あり、転々と移動する。雑食。果実や野菜を好み、小動物・昆虫・鳥類の卵や雛も食べる。
<アライグマの特徴・生態>
分類
ネコ目(食肉目) アライグマ科 アライグマ属
大きさ
体長40~60cm、体重は3~8kgほど。
猫よりもひとまわり大きく、中型犬程度の大きさ。
見た目の特徴
目の周りは黒いマスク模様。耳のふちが白い。
しっぽは太く、5~7本の縞模様。
長い5本の指を持ち、物をつかむことが可能。
分布・目撃例
アライグマは北アメリカが原産。1970年代のペットブームの後、逃げ出したり捨てられたりした個体が野生化した模様。2008年には全都道府県で確認され、近年は港区・杉並区・世田谷区など、都内での目撃も増加している。
行動
夜行性。水路や側溝を使ったり、電線、屋根などに登り伝って移動する。泳ぎも得意。雑食。果実や野菜を好み、小動物・昆虫・鳥類の卵や雛も食べる。
参照:農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル-アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ(中型獣類編)」
配信: ASOPPA!