でも、「グレーゾーン」ってそもそも何? 『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)などの著書を持つ立石美津子さんは言う。
グレーゾーンとはアスペルガー症候群などを含む、白か黒か診断の難しい発達障害の俗称です。グレーゾーンの子が増えているというわけではなく、今は情報があるために発見しやすくなってきたんだと思います」(立石さん 以下同)
発達障害には、大きく分けて以下の3つがあるそうだ。
1. 学習障害(LD)……コミュニケーション力には問題がないが、読む・書く・計算が出来ない。
2. 注意欠如/多動性障害(AD/HD) ……忘れ物が多い、約束や決まりごとを守れない、直ぐに気が散る、授業中立ち歩く、身体を常に揺する、行動や感情を爆発させる、片付けができないなどの特徴がある。
3. 広汎性発達障害(PDD)……自閉症やアスペルガー症候群、トゥレット症候群も含まれる。知的には大きな遅れがないため、早期に気付くことが難しい。
●就学時健康診断で判明することの多い「グレーゾーン」
ところで、「グレーゾーン」と言われるのは、何歳くらいのときで、どんなきっかけによるものなのか。
「障害が重ければ3歳児検診で判明しますが、グレーゾーンの場合、第一段階は、年長児の10~11月に行われる『就学時健康診断』でわかることがあります。また、学習障害の場合には小学校3~4年で先生に指摘されることもあります」
発達障害と診断された場合には、「特別支援学級」(学校の中に併設された配慮の必要な子どものためのクラス)、「通級」(普通学級に籍を置きながら特別なクラスに何日か通う形式)などを行政から勧められるそう。今は特別支援教室という制度も導入されつつある。
「ただし、幼児は誰でも多動で社会性もあまりなく自己中心的であるため、特徴がわからず、親は『グレーゾーン』という診断結果を受け入れないことも多いんです」
確かに、突然「グレーゾーン」と言われても、すぐに納得できない人も多いかもしれない。しかし、その結果を突っぱね、普通学級で支援をされず健常児として過ごさせた結果、小学校でいじめにあったり、自己肯定感が育たなくなってしまったりと、問題が複雑化するケースも多いそう。
もし、子どもがグレーゾーンと言われたら、親にとってではなく、子どもにとってどんな環境で過ごすことが本当に幸せなのか、じっくり考えてみる必要がありそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)
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