●RPGゲームだと思えば、何事も怖くない!
――ズバリ!“ママ友”のいいところはどこにあると思いますか?
「自分1人の知恵や価値観だけじゃなく、20人いたら20個の知恵があって、子どもの世界が何十倍にも広がっていくという点でしょうか。遊ぶことにしても、ママ友に誘われて、単純にそれに乗っかってみたら、思いがけず子どもが面白がって、新たな一面が見えることもありますよね。特に私はインドアなので、バーベキューだキャンプだって、アウトドアなママに誘われて出掛けてみると、発見できたことがたくさんありました。でもこれは、ママの世界が特別なわけじゃなくて、会社に入ったり進学したり…何か新しいことを始めたりするときはみんなそうなのかなと思います。たくさんの人の意見や価値観が聞けることは、子どもの成長にもいい刺激を与えるし、基本ママ友の世界は“期間限定”だと思っているので、何かトラブルが起きても、時が過ぎれば解決されます。だからこそ“どうこう悩む必要もないのかな?”と…私はそう思っています」(千秋さん 以下同)
――著書の中では、ボスママについての見解も書かれていますよね。とても斬新で印象深かったです。
「ママ友の世界って、ボスママとかイジメとか、ネガティブなイメージが先行しがちですけど、私は冷めた性格なのであまり振り回される気がしなかったというか、“自分が巻きこまれたらどうしよう”というより、“巻きこまれたらどんな風になるんだろう。よーし見てやろう!”という感じでした。“もしひどい目に遭ったら、テレビや本とかで言っちゃおう”みたいな(笑)。学生時代のイジメだったら、世界が狭いし、外の世界を知らないから、ショックで悩んだり学校に行けなくなるとかもあったかもしれないけど、今は大人だから“ママ友の世界以外にもたくさんの世界がある”ことをちゃんと知ってる。だから客観的に見ることができると思うんです。ボスママみたいな人もいたし、それなりにいざこざもありましたが、“あの人ってそうなんだ、へえ~”って、どこか映画を見ているような感じでした。もっと言えばロールプレイングゲームみたいなものかな(笑)。“あそこにボスキャラが出た! 今度はこっち! あーやっぱりこの人だった!“とかそういう感じだったし、“親がああだから、子どもはああいう風に育ったのかな”とかいろんな親子関係も見える。小学校なら6年間でゲームオーバーだし、嫌ならいつでも逃げられるしやめられる。“子どもとセットだから上手くやらなきゃいけない”と思うとプレッシャーになるので、どうか悩まないで欲しいと思います」
――娘さん(中1)の子育てを通して様々な体験を積んだ千秋さん。“ママ友作り”について、アドバイスはありますか?
「ママたちがそれぞれ生きてきたなかで、“この人苦手”“生理的に無理”とかあると思うんです。その直感は意外と当たっているし、苦手と思う人とは深い付き合いをする必要はないと思います。クラスが同じだからってみんな仲良くしなきゃいけないわけじゃないし、別にしゃべらない人がいてもいい。もう大人なんだから“友だちを選ぶ”ことをしていいんじゃないかな。ママ友の世界は、ママ自身がゲームの主人公だから、ママが主体でいいと思う。“友だちになりますか?”と聞かれたら“はい・いいえ”で答えればいいし、途中でやめてもいい。そう考えると、ママ友付き合いがストレスになっている人も、少しはラクになるんじゃないでしょうか」
学校を卒業しても、なおお付き合いが続く人は、それはすでに“ママ友”ではなく“真の友だち”になっていると語る千秋さん。それ以外はRPGゲームのように、良くも悪くも割り切ることが必要。ママ友付き合いで悩んでいる人には、大きなヒントになるのではないだろうか。
(撮影/橘蓮二 取材・文/蓮池由美子)