もしわが子が「普通学級で勉強するには少し難しい」と言われたら? 『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)などの著書を持つ立石美津子さんは言う。
「わが子が『グレーゾーン』と言われると、ショックを受け、受け入れられない家庭は多いです。『うちの子は普通です!』『うちの子をバカ扱いして!』と怒る人もいます。特に障害が重い場合には、3歳児検診で見つかることが多いですが、『グレーゾーン』はわかりにくいため、受け入れにくいのです」(立石さん 以下同)
そもそも子どもは落ち着きなく、自己中心的であることが多いだけに、「まだ幼いだけ」「個性的なだけ」と受け止める親も多いそう。
「しかも、小学校選択は、保護者の意向が優先されるようになっています。親が『うちの子は問題ない』と言えば、行政側のアドバイスを無視しても良いことになっているのです。そのために子どもの将来にかかわる重大な人生の岐路で、誤った選択をしてしまうケースもあるのです」
●才能を伸ばそうと「温泉掘」してしまう危険性
なかには、わが子に障害があると感じながらも、事実を受け入れられず、「健診を受けたらひっかかってしまうから」と就学時健診を受けずに逃げ続け、通常学級に子どもを行かせる家庭もあるそう。
「また、担任の先生に障害のことを話すと、色眼鏡で見られるとか、レッテルを貼られるとか、能力を伸ばせなくなると考え、隠す親も多数います。しかし、それは逆に、『障害=不幸、良くないもの』ととらえている親自身の偏見だと思います。普通学級にいながら障害を隠されて苦労するのは、親ではなく、本人ですから」
また、気をつけたいのは、親の「こうあるべき」という像に近づけようとすることや、才能を伸ばそうと「温泉掘」をしてしまうことのリスクだそう。
「発達障害の人達の中には、非常に優れた記憶力や、特殊な才能を持つ人もいます。そのために、わが子が発達障害と言われると、天才児を夢見てしまう親もいます。しかし、本人の資質や意欲があって、うまくいけばいいものの、そうでないケースもあります。親のそうした思いが本人を追い詰めてしまうこともあります」
大切なのは、子どもの能力や資質に一番適した居心地の良い環境の中で、成功体験や達成感をきちんと感じさせることだそう。自分の気持ちがどうかではなく、何が子どもにとっていちばん幸せか、よく考えたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)
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