子の発達障害の可能性を放置すると、将来どんな問題が?

第3回 わが子が「グレーゾーン」と言われたら
発達障害か否かが判別しにくい「グレーゾーン」。実は、いちばん怖いのは思春期以降のの「二次障害」のほうだそう。

「二次障害は、不適切な環境に置かれたことに対するストレス反応です。 先天的に脳にあった一次的障害に対して、後天的に発生してしまった障害をいいます」

こう話すのは、『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)などの著書を持つ立石美津子さん。

発達障害でありながら親がそれを否定し通常学級で普通の子として学ぶことにより、友だち関係がうまく作れなかったり、いじめにあったり、「どうせ俺なんか」といった自己否定の気持ちを持ってしまったり。それが不登校やうつ、家庭内暴力、ひきこもり、さらにはリストカットなどにつながる危険性があるそう。

「これらは大人になって突然起こるのではなく、マイナスの経験の積み重ねの結果です。特に、障害が重い場合に比べ、知的遅れがないために親も本人も受け入れられない『グレーゾーン』において、二次障害の問題は最も起こりやすい傾向があります」

絵をかく様子

●「できるだけ通常学級で」は子を追い詰める可能性も

二次障害を防ぐ一番のカギは、一番長い時間子どもと関わるお母さんの姿勢だそう。

「子どもの“あるがまま”を認められず、自分の考える理想の子ども像を求め、ほかの子と比べてしまう。でも、背の高い子や低い子、走るのが速い子や遅い子がいるように、頑張ってもできないことはあるのです。親が追い詰めた結果、子どもは誰にも理解されることなく、苦しみ、孤立します」

また、知的に遅れがあるのに「特別支援学級に行かせると、伸びるものも伸びなくなってしまう」と思い込んでいる親、「とりあえず通常学級でできるだけ過ごさせ、無理になったら移動させよう」と考える親も多い。

「でも、特別支援教育なら、個別に手厚いサポートが受けられるところを、親の見栄や知識のなさによって通常学級で頑張らせてしまうことで、子への精神的負担が積み重なり、手に負えない段階になってから特別支援学級に移るケースは多いのです」

子どもの1~2年間は非常に大きなもの。小学校低学年くらいまでは二次障害は起こらないのに、結論を先送りすることで、事態が悪化してしまうことは多々あるのだ。

ちなみに、難しいのはママ友に聞いても、無責任に「大丈夫よ。個性のひとつよ」などと言われて終わってしまうことが多いこと。

グレーゾーンを受け入れられない人は、まずネットや書籍で情報を集めてみること。異年齢の子の親が集まるNPOイベントなどに行ってみるのも、客観的に判断できる材料となるそう。自分にとってでなく、わが子にとってベストの選択をしたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)

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立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
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著者の子どものエピソードや、「できるだけ健常児に近づけたいと考える親」「通常学級にこだわる親」など多くの発達障害の親子の話を交えながら、障害受容、療育選び、カミングアウト、学校選びなど、子どもの将来を左右する大切な“分岐点”で親としてぶつかる様々な悩みと解決法をお伝えする一冊。
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この本では、肩の力を抜いた「ちょうどよい=テキトー」な6歳までの子育てのコツを紹介していきます。「ここだけは押さえて、あとはいいかげんな意味のほうのテキトーでいいのよ。完璧な子ども育てなくていいのよ」というのが、実際に30年以上幼児教育に携わった著者のアドバイスです。
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