かつては「マザコン」という言葉は敬遠されたものなのに、今はママたちが堂々と「息子をマザコンに育てている」と宣言するケースも少なくない。
しかも、同じく多く感じられるのは、娘に対する態度と息子に対する態度が全く異なるママたち。その違いについて、『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)著者で、NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんに聞いた。
「確かに息子への愛を隠さないママは多数いますし、実際に男の子と女の子で接し方が違うことも多々あります。男の子と女の子の両方を持つママは、『男の子のほうがかわいい』と話す人が結構いますね」(菅原さん 以下同)
なかには、「息子に対しても、娘に対しても、自分の接し方は同じ」と言うママもいる。しかし、傍から見ると明らかに異なるケースが多いのも事実。
「実際、今は子どもが少なくなっていることもあって、お母さんは息子にべったりのケースが見受けられます。娘の場合には放っておくのに、息子の場合は入社式についていったり、社会人になるまでに下着からシャツまで衣類一式全部そろえてあげたりなんて話も聞きます。お母さん自身、『本当はそんなことしちゃダメ』とわかっているのに、『男の子は頼りなくて見ていられない』『男の子は放っておけない』と思ってしまうことが多いようなんです」
●男の子の弱さや甘え上手が、息子溺愛の原因!?
では、なぜ「男の子のほうが放っておけない=溺愛」になるのか。
「ひとつには、赤ちゃんのときから男の子のほうが生物として弱いことが潜在的にあるかと思います。男のほうがたくさん生まれるのに、育たない率が高く、また平均寿命も短いですから」
また、昔からの社会的な通年として「男の子は家のため、一族のために、強く育てなければいけない」という思いがあり、余計に手をかけてしまうのではないかという。
「それに、男の子のほうが女の子よりも『ママ』と甘えてくれることもあるのでは? 仕事で忙しい夫よりも、息子のほうがかわいい、高校生や大学生くらいになると、息子と友だちのような感覚でいられること、街を一緒に歩けることを自慢に思うお母さんもいるようです」
女の子に対しては、早くから大人と同等に扱い、頼れる存在になることも多いのに、男の子には厳しくしなければと思いつつも、ついつい甘くなってしまうママたち。ある程度は生物的に仕方のないことなのかも?
(田幸和歌子+ノオト)