溺愛ママが息子から卒業すべきとき

第3回 息子を溺愛しすぎるママ、その特徴と子への影響は?
親にとっては、いくつになっても子どもは幼いままで、かわいいのが当然。でも、女の子とは違って、息子に対しては、つい放っておけずに手を出してしまう、甘やかしてしまうというお母さんが多いのは、困りモノだ。

つい息子愛しさにベタベタしてしまうお母さんは、どんなとき、どんな風に息子との距離を置くべき? 『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)著者で、NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんは言う。

「子離れのベストタイミングは、子どもが小学校に入るときですね。そこまでに基本的なことを教えてくことが大切だと思います」(菅原さん 以下同)

なんと就学時!? その理由について、菅原さんは次のように説明する。

「人間は本来、生きていくための力を持っています。あとは意欲だけ。誰でも2~3歳の頃には、まだできないのに『自分で』『自分で』と、何でもやりたがるときがありますよね? その頃から、自分でやらせて、できたら一緒に喜んで、またやらせる。ずっとその繰り返しなんです」

幼い頃に教えたことは、「三つ子の魂百まで」で、子どものなかにずっと生きているもの。子どもの発達にしたがって、自分でやりがたることを全部やらせてあげていけば、子どもは勝手に離れていくものだそう。

笑顔の息子と母親

●溺愛された息子は恋愛・結婚しなくなる可能性も?

それでも、どうしても「男の子は頼りない」「見ていられない」と感じてしまうママは多数いる。しかし、これらはお母さんの「手離したくない」という気持ちのあらわれの可能性もあると菅原さんは指摘する。

「お母さんにとって息子は、彼氏・恋人に近い感覚もあるのではないでしょうか。いわゆる『草食男子』も、愛玩動物のように育てられたことで、生きるための力が育たなかったからかもしれませんよ」

自分でできることは全部自分でやっていくことで、生きる力が高まる。「生きる力」が高まれば、性欲も生殖能力も高まり、恋愛をすると、子どもは勝手に親から離れていくものだという。

しかし、残念ながら、自然に離れていく気配のない息子にすでに育ってしまっていたら?

「子離れはある日突然するものではありません。子どもがひとりで生きていけるように、ひとつずつ自分の力でやらせることの繰り返ししかないのでは? そして、それは早ければ早いほどラクなんです」

もし、思春期以降も親にベッタリな息子が育ってしまったとしたら、「いつまでもかわいい」「放っておけない」ではなく、危機感を持って今すぐにでも「先回りして手を貸す」ことをやめたいものだ。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

菅原裕子
菅原裕子
NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事/有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役
子どもの自立 をサポートする親や先生、子どもの養育者、教育者のためのプログラムを提供。『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)など、多数の著書がある。
子どもの自立 をサポートする親や先生、子どもの養育者、教育者のためのプログラムを提供。『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)など、多数の著書がある。