23歳で実家を出て以来、母とは時々会う程度であったため、母の様子に表面的には特に大きな変化を感じてはいませんでした。ところが、私が実家で母と同居をすることになり、よくよく母の様子を見るようになると、以前と比べて性格も言動も随分と変わっていることに気が付きました。
以前の毅然(きぜん)とした態度やプライドの高さは残っているものの、老化による衰えにより、明らかに以前のバリバリ現役であったころの母とはまったく違う様相になっていました。
介護生活が長くなると母の様子が変わり…
人にも自慢できる母だった
私が成人するころまでは、尊敬する人は誰かと聞かれると「母です」と答えていました。私の母は、あの年代にしては珍しいリケジョで、国内最高レベルと言われる大学出身です。大学時代は周りのほとんどが男子で不便な面もあった半面、教授や周りの生徒にはやさしくしてもらったとか、その大学で父と知り合ったとか、母の学生時代の話もよく聞かされました。
父と一緒に興した会社でマネージメント業務を担う傍ら、自分の専門分野でもフリーで活躍するなど、生き生きと活躍していました。 私の母はほとんど家にはいなかったので、私も小学生のころから夕飯は私たちきょうだいで作るのが日常となっていました。
スマートな体形を維持し、オーダースーツを着こなし、真っ赤な口紅をひいて朝出勤していく母の姿は、子ども心に格好良い自慢のお母さんに思っていました。私が高校生のころには、私の友人たちからも母が憧れの存在と言われるなど、母は一目置かれる存在でした。
配信: 介護カレンダー