日本一の梅の産地で新たに生まれた「完熟梅」の活用法
梅の名産地として有名な和歌山県ですが、その割合は全国の7割以上と圧倒的。さらに、和歌山県の梅の半分近くが日高郡みなべ町で収穫されていて、みなべの紀州南高梅として知られています。
和歌山県で採れる梅の7割は完熟梅。完熟した実は柔らかく傷つきやすいため、生の状態での流通が難しく、そのほとんどが現地で梅干しや梅漬けなどに加工されています。また、収穫時期が遅くなるにつれて価格も下がるという傾向もあり、収穫期が遅いみなべ町の山間部では価値の下落に困っていたそう。
そんな中、メルシャンのスタッフがみなべ町を訪れた際に、梅林にただよう豊潤でフルーティな完熟梅の香りにほれ込み、これを梅酒として活用できないか、と考えました。
地元の梅農家さんは、梅干し以外の完熟梅の用途を拡大して価値を向上させたい。メルシャンは、この完熟梅の豊かな香りと味わいを活かしたおいしいお酒を造って届けたい。ということろから研究・開発がスタート。
メルシャンがこだわっているのは、完熟梅の中でも「完熟落下梅」。木の上で完熟したものが自然に落下して、香りも味わいも濃厚になり、最もおいしくなるタイミングのものを収穫します。
比較のためテーブルに配られたのは、青梅、樹上完熟梅、完熟落下梅の3つ。左から、より香りも強く、熟した桃のような甘く濃厚な香りになっていきます。完熟落下梅を実際にかじってみると、甘酸っぱく、プラムのような味わい。これをお酒にしたらさぞかしおいしいだろうな、と感じます。
ワイン造りのノウハウを生かした梅酒づくり
ワインで有名なメルシャンですが、ぶどうも梅も同じ農作物でフルーツ。フルーツのおいしさを伝えたいという思いと、テロワール(産地の風土や土地)にこだわりを持ち、ワインの香りを引き出す知見をヒントに、梅の香りを最大限に生かした商品開発に着手。
その製法のポイントは、「凍結」と「梅の種」。
梅の実を凍結すると、生のままよりも浸漬期間を短くすることができ、さらに梅の香りや旨み成分がより多く溶け出すのだとか。また、凍結することにより保存性も向上し、1年中効率よく生産できることに。
さらに、梅の種が持つ香りと味わいにも注目。梅の種だけをお酒に漬けて、杏仁のような甘い香りと旨み成分を生み出した原酒を作り出しました。
配信: OZmall