●一番大切なのは心の余裕
――他の子とは一切比べず、ありのままを受け容れるお母様の豊かな愛情に包まれて育った栗原さん。子育てで大事なことは何だと思いますか?
「僕自身が子育てを経験しているわけではないので、偉そうなことは言えませんが、母を見ていると“心の余裕”なのかなと思います。親は子どものために動くことでいっぱいいっぱいになるかもしれないけど、自分が好きなことをする余裕は作るべきです。僕の子育ては大変でしたが、どんなに忙しくても、母は自分の趣味や時間をとても大切にしていました。だからこそ、僕の発達が遅いことでクレームをつける学校側と、真正面から戦うことができたんだと思います。これは、母親にしろ父親にしろ、とても重要なことだし、もしも僕がいつか結婚をして、自分の奥さんが子育てで大変な時期があったとしても、僕は奥さんに『自分の好きなことをやっていいよ』と言ってあげたい。親に余裕がないと何事も上手くいかないだろうし、子どもにも影響を及ぼすのではないでしょうか。もしも子育てでつらいことがあれば、一瞬でもいいから忘れられることをする。例えば映画を見るとかゲームするとか読書するとか…好きなことをする時間を定期的に作ることによって、いい子育てを維持し続けられると思います」(栗原さん 以下同)
●いずれ映像制作の仕事もできたら…
――シングルマザーのお母様にとっては、栗原さんの主治医・高橋猛先生との出会いも大きかったようですが…。
「そうですね。周りからのサポートはとても重要だと思います。僕の場合は、相性がいい主治医や、自分のことをわかってくれる友人がいたからこそ、いつもの自分でいられたのではないでしょうか。母の話を聞いていると、特に僕の場合は…ですが、子育てって本当に大変だと思うし、例え専業主婦だとしても、それはそれで過酷ですよね。だからこそ、親の心に余裕があったり、落ち着きがないと、子育てそのものが上手くいかなくなるんじゃないかなと思います」
――今秋は、「彼岸島デラックス」(公開中)、「アニバーサリー」(公開中)、「インターン!」(11月5日(土)公開)、「TOKIO CITY GIRL」(11月19日(土)公開)と、立て続けに出演映画が4本公開されます。最後に今後の展望を聞かせて下さい。
「母はいつもこう言っていました。『人生は長いマラソンだから10年後20年後にはどうなるかわからない』」と。だから、10年後20年後を見据えた仕事をしていきたいと思っています。子どもが20歳を迎えたら、その後は子ども自身の責任です。今後どんな大人になっていくのかまったくわからないけど、仕事は続けていきたいし、何年後に目標を立てるというよりも、伸び伸び仕事をし続けて、いずれ自分で映像制作もできたらいいなと思います。映画や脚本、監督もできたらいいですね。でもそれは、すぐとか何年後とかではなく、“いずれできたらいい”というフラットな気持ち。目標を持ち続けながら、様々な作品と出会って成長していけたら嬉しいです」
(撮影/田子芙蓉 取材・文/蓮池由美子)