●毎月9万円貯められる家計設計が急務!
「現在の年金制度では、生活費が支給額を大きく上回ります。そのため、60歳までにおよそ3,000万円の貯蓄が必要。これは、60歳から70歳まで、住居費も含めて夫婦で月28万円必要になると考えた場合の額ですが、自分たち夫婦は老後どれくらいの生活費が必要なのか検討することからはじめる必要があるでしょう。それを正確に知っておかなければ、3,000万円貯蓄する意味もわからないはず。机上の空論になってしまわないように、しっかりと試算することが大切です」(丸山さん、以下同)
仮に35歳から老後にむけて3,000万円貯めようと思うと、老後資金に充てる毎月の貯金額は10万円。ちなみに、30代男性の平均年収は488万円(転職サイトDODA「平均年収ランキング2015」より)だが、子育て世帯かつ年収400万円台の家庭でも3,000万円を貯めることは可能なのでしょうか?
「はっきり言って、ほぼ無理だと思います。子どもがいれば優先順位が教育資金に向いてしまいますし、夫の収入でやり繰りするだけでは難しいです。妻も働いて世帯年収を上げつつ、生活費などの出費をできるだけ抑える必要があります」
また、順調に貯められたとしても、子どもの学費や親の介護費用など、想定外の出費がかさむ可能性もゼロではありません。現実はなかなか厳しいようです。
●お金を貯めたいなら家計簿はマストでつける!
貯金をするためには、何はともあれ生活費をしっかり把握することが重要。そのためにも、家計簿をしっかりつけることが基本だと丸山さんは言います。
「今のお金の出入りがわかっていないのに老後の心配をするのは本末転倒です。まずやるべき事をしっかりやりましょう!」
そこで、丸山さんオススメの家計簿のつけ方を紹介してもらいました。
【家計簿は7項目に分ける】
「我が家は、『食費』『医療費』『子ども費』『外食費』『美容費』『雑費』『予備費』の7項目にしています。家計簿は続ける事に意味があるので、あまり項目が多いと面倒になってしまいます。ひと月に大体どれくらい使っているのかが把握できるようにするといいでしょう」
【1日5分の見直し時間】
「今日はどれくらいお金を使ったのか、予算に対して明日以降はどれくらいお金が使えるかを、1日5分程度の時間を使って見直していきます。これができないと結局どんぶり勘定になってしまい、家計簿をつけていないのと同じです。お金が貯まる家は、必ずと言っていいほど予算に収めるために日々頑張っているものです」
【予算の枠組みに合った生活を】
「公共料金や住宅ローンなど、固定のお金を引いていった残りのお金で生活をするように心掛けましょう。『残ったお金=生活費』になるので、その中でやりくりをしていくことが大事です。『生活費が余ったら貯蓄をしよう』という考え方では絶対に貯まりません。貯蓄分は先に別にしておいて、引き出しにくいところにおいてしまうというのが鉄則ですね」
また、ボーナスをあてにした消費や、退職金で住宅ローンを完済するといった計画はなるべく避けるべきとのこと。
●貯蓄の方法もさまざま
「貯蓄の方法として、勤務先で給与として振り込まれる前に天引きで積み立てられる財形貯蓄制度もあります。簡単に引き出すことができない方法や、ある程度の強制力が働く方法を取り入れることで貯蓄がしやすくなります。勤務先に財形制度がない場合は、給与振り込み口座の銀行で給料日に自動的に積み立てる方法で毎月確実に貯蓄をしましょう。
もし、貯蓄に余裕が出てきたら、株や投資信託といった運用も考えられますが、基本的には貯蓄する額を上回った場合に検討するべきでしょう」
さらに、お金を使うか、貯蓄するか「メリハリ」をつけた金銭管理も重要のようです。
「よく『アリとキリギリス』のたとえ話が使われますが、夏(収入がある時期)にどれだけ貯められたかが大切で、それが冬(収入がなくなる老後)に生きていけるかのカギになります。
ただ、老後のことばかり考えて楽しめないとなると、人生はもったいないですよね。要するに出すべき所と蓄えるべき所との『メリハリ』が大切です。普段は自炊でも月に1回はちょっといいレストランで外食しようとか、日常生活の中でのメリハリをつけながら老後の資金を貯めていかないと、後々後悔することになると思います」
貯蓄するにはどうしたらいいのかについて、具体的に考えないと漠然とした不安だけが頭をよぎってしまいます。
そう遠くない未来に訪れる老後のために、日々できることを継続していくことが大切ですね。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)