大学芋の特徴って何?
大学芋の特徴といえば、カリカリに揚げたさつまいもとたっぷりと絡んだ飴色のたれです。この料理のルーツは中国にあるといわれています。中国には、たくさんの砂糖を使用して作った飴をさつまいもにかけて食べる料理があり、日本で作られる大学芋はこの料理をもとにして作られたという話が有力です。中国では「バースーバイシュー」や「バースーホンシュー」、「バースーディーグワ」などと呼ばれています。バースーとは糸を引くという意味で、後ろの語が違うのは地域でさつまいもの呼び名が違うためです。糸を引く飴を使用した中国の料理が、確かに日本の大学芋のルーツになっていることがわかります。
では、なぜこの料理が日本で大学芋と呼ばれるようになったのかというと、それにはいくつかの説があります。
1つ目は、大正から昭和の時代にかけて、東京の神田近辺(学生街)で大学生が好んで食べていたからという説。
2つ目は、昭和初期の時代に帝国大学に通っていた学生が、学費を稼ぐために作って売っていたからという説。
3つ目は、大正初期に帝国大学の門前で営業していたふかしいも屋が大学芋を作り、大学生の間で人気になったからという説です。3つ目の説は大学芋を作っているメーカーが名前の由来としてもっとも有力としていますが、どの説が本当かどうかははっきりとはわかっていません。
大学芋の特徴といえば、甘さとカロリーの高さも外すことができないでしょう。たれに砂糖を使う大学芋は甘さもカロリーも高くなりますし、さつまいもも糖質が高くカロリーがアップします。実際のカロリーは、一般的に100gあたり231キロカロリーといわれています。甘さは、たれの甘さとさつまいもそのものの甘さが加わるため、しっかりとした甘さを感じられるのが特徴です。たれにどの甘味料を使うかで甘さを強くしたり控えめにしたりすることが可能で、大学芋の糖質は100gあたり約32gと高めになっています。
大学芋のレシピと基本的な作り方
大学芋の材料(4人分)は、さつまいも(細めのもの)400g、砂糖100g、水大さじ3、揚げ油適量です。
基本的な作り方は、まずさつまいもを大きめの乱切りにして水にさらしておきます。あく抜きしたらザルに上げ、ふきんでしっかりと水気を拭き取ります。拭き取ったら、140℃に熱した油にさつまいもを入れて、箸でかき混ぜながら低温でじっくり火を通していきましょう。竹串でスッと通るくらいまで火が通ったら、油の温度を上げてきつね色になるまで揚げます。
すべて揚げ終えたら、今度はたれを作っていきましょう。大きめの鍋に砂糖と水を入れて強火にし、煮詰めていきます。砂糖が溶け始めて泡立ってきたら、直接箸で混ぜずに鍋を動かしながら完全に溶かします。全体にこまかい泡が立ってきたらできあがりの目安です。揚げたさつまいもを鍋に加えたら、火からおろして手早く全体に絡めていきます。バットに広げて冷ましたら完成です。
大学芋を美味しくつくるコツ
基本的な大学芋の作り方でもカリカリな食感を出すことはできます。しかし、普通に作っただけではカリカリの食感が出ないという人も多いため、ここではよりカリカリ感を出すためのちょっとしたコツを紹介していきます。
スティック状にカットする
さつまいもをスティック状にすることで、カリカリの食感を出すことができます。通常、大学芋といえば一口サイズの乱切りが一般的ですが、表面積の広い乱切りではカリカリになる部分が少ないため失敗しやすいです。
カリカリにするには、表面積を小さくしてカリカリになる部分を増やしてあげるのがコツです。細めのスティック状にカットするだけで、簡単にカリカリの食感が作れることができます。
揚げながらタレを絡める
さつまいもを揚げながらたれに絡めることで、カリカリの食感を出しやすくなります。
基本的な大学芋の作り方は、最初にさつまいもを揚げてからたれを作り、最後の段階で2つの材料を絡めていくものです。さつまいもを揚げるときに高温にしてカリカリ感を出すため、この作り方でも食感を楽しむことは可能です。
ただ、たれを作っている間に、せっかくできたカリカリ感が弱くなってしまう場合があります。そこで、さつまいもを揚げる、たれを作るという2つの工程を一度に行い、カリカリ感を損なわないことがポイントになります。この方法で作る大学芋の材料は、揚げ油大さじ3、砂糖大さじ3、さつまいも大1本分の3つだけです。
作り方は、揚げ油と砂糖をフライパンに入れて、乱切りにしたさつまいもを投入し中火で加熱していきます。パチパチと音がしてきたら弱火にし、きつね色になるまで火を通して完成です。乱切りにしたさつまいもでも表面がカリカリで、中はホクホクの大学芋を簡単に作ることができます。
絡めたら冷水にとる
さつまいもをたれに絡めた後、冷水にとることでカリカリ感が出やすくなります。やり方は、揚げたさつまいもにたれをまんべんなく絡めた後、キンキンに冷やした水に10秒ほどくぐらせていきます。冷水にとるとタレが固まるため、カリカリの食感を作り出すことができるのです。
この方法で作るときは、たれをできるだけ濃く作るのがコツです。砂糖大さじ5、水大さじ1の割合で作りましょう。こってりしたたれにすることでしっかりとコーティングされ、水に入れても溶けることがありません。
また、冷水がぬるくなってしまわないように、さつまいもを5~6個入れたら氷を入れて温度を低く保つことも大切です。この方法は、一度やわらかくなってしまった大学芋を復活させるのにも役立ちます。やわらかくなった大学芋に再度たれを絡めて冷水にとると、カリカリ感を取り戻すことが可能です。
大学芋のたれの作り方とコツ
大学芋を美味しく作るためには、たれの作り方にこだわるべきです。いくら新鮮なさつまいもを使って作ったとしても、味の要であるたれに力を入れなければ美味しく作ることはできません。
基本的な大学芋は、たれに水と砂糖を使います。このたれをどのようにすればより美味しくつくることができるのか、たれの作り方とコツを紹介していきます。
大学芋のたれの作り方
できたての大学芋のたれは、つやがありとろっとしていて味はもちろん、見た目も美味しそうに見えます。しかし、時間が経って冷めてしまった大学芋は、とろとろではなくざらざらの食感になってしまうことがあります。たれが固まってさつまいも同士がくっついてしまったという経験をした人もいるのではないでしょうか。
たれが冷めたときに固くざらざらになるのは、一度溶けた砂糖が冷めて再び結晶化してしまうことが原因です。結晶化を防ぐことで、冷めてもとろとろのたれを作ることができるようになります。ポイントは、小鍋ではなく浅く広いフライパンを使うこと、かき混ぜてから火をつけること、火をつけてからはかき混ぜないようにすることの3つです。
かき混ぜてしまうと、砂糖は結晶化します。とろとろのたれにするには、フライパンを傾けながら弱火で丁寧に砂糖を溶かしていくことが大切です。火が通ってくると、泡が出始めて外側がきつね色に変化し糸を引き始めます。その状態になったら、火からおろして余熱が回らないようにしてください。
できあがったたれにさつまいもを絡めれば、冷めても美味しい大学芋の完成です。さつまいもはなるべく揚げたての状態で絡めた方が良いので、揚げる工程とたれを作る工程は同時に行うようにしましょう。
美味しいたれを作るコツ
大学芋のたれを冷めても美味しく作るためには砂糖の結晶化を防ぐことが重要ですが、実はたれにあるものをプラスするだけで簡単に防ぐことが可能になります。それが、水飴とお酢です。
水飴を使う場合は、たれの分量は砂糖と水飴を1:1の割合にして作ります。水の代わりに水飴を使うことで、結晶化を防ぎつやを出すこともできます。もともと水飴は粘度が高いため、たれを煮詰めるときはそれほど意識しなくても簡単に作ることが可能です。お酢を使う場合は、揚げたてのさつまいもをたれと絡める直前にお酢を少量入れるだけです。酸が砂糖と結晶化を防いで、冷めても美味しいたれに仕上がります。
スイーツやおかずとして使える大学芋のアレンジレシピ
大学芋をアレンジしたレシピを紹介していきます。手軽に作れるものばかりなので、初心者でも手が出しやすいレシピになっています。普通の大学芋に飽きたときや、ちょっと変わったレシピに挑戦したいというときなどに挑戦してみてください。作り過ぎて余ってしまった大学芋を活用するのにも便利です。
大学芋ケーキ
材料(18cmケーキ型1台分)は、大学芋200g、卵2個、はちみつ30g(砂糖使用の場合60g)、塩少々、牛乳150ml、ホットケーキミックス、200g、バター60g、黒ゴマ5グラムです。
下準備として、型にクッキングシートを敷き、バターは電子レンジで溶かしておきます。オーブンは、170℃に余熱しておいてください。
下準備ができたら、生地を作っていきましょう。まず、ボウルに卵を溶いて、はちみつ、塩を入れてよく混ぜます。牛乳、ホットケーキミックス、溶かしバターも順に入れて、その都度よく混ぜ合わせます。最後に、黒ゴマを入れて混ぜたら生地のできあがりです。
生地を流し込むときは、1cm幅に切った大学芋を型の底に並べてから流し込んでいきます。2回ほど空気を抜き、170℃に余熱しておいたオーブンで35分焼きます。焼く時間はオーブンの種類で変わるので、竹串で生地がくっつかないのを目安に焼き時間を調節してください。
このケーキは、砂糖の代わりにはちみつを使用して、甘さとカロリーを控えたレシピになります。甘さが足りない場合は、はちみつをかけても美味しく食べることができます。
キャラメルを使った大学芋
材料(3人分)は、さつまいも300g、ミルクキャラメル12粒、牛乳大さじ1、バター小さじ1、ラム酒小さじ1です。
作り方は、まず乱切りにしたさつまいもを竹串が通るくらいまで火を通し、油をひいたフライパンで焦げ目がつくまで揚げ焼きにします。
次に、キャラメルを4等分に切って、耐熱容器に牛乳、バター、ラム酒を加え、ラップをして2分ほど加熱します。加熱後はかき混ぜて、まだダマが残るようであればさらに20秒加熱して完全に溶かしてください。
完成したキャラメルソースを熱いうちにさつまいもと絡めてできあがりです。さつまいもに火を通すときは茹でても良いですし、電子レンジで加熱しても構いません。揚げ焼きではなく、さつまいもを揚げる場合は加熱する工程を省いてください。お子様のおやつなどで作る場合は、ラム酒を牛乳小さじ1に変えて作っても良いでしょう。
ローカロリーな揚げない大学芋
材料(2人分)は、細めのさつまいも1本、ココナッツオイル小さじ2、はちみつ大さじ1(なければ砂糖大さじ1)、しょうゆ小さじ2分の1、黒ゴマ適量です。
作り方は、まずさつまいもを輪切りにしてあく抜きした後、電子レンジで5~7分加熱して火を通していきます。火が通ったら、ココナッツオイルをひいたフライパンにさつまいもを並べて焼き色を付けていきます。はちみつとしょうゆを絡めて、黒ゴマをかけたらできあがりです。
こちらは、ココナッツオイルとさつまいもを揚げずに作ることで、カロリーを大幅にカットしたレシピになります。低カロリーなおやつが食べたいというときや、ダイエット中のおやつにぴったりです。また、しょうゆを使って味に深みを出しているので、おやつとしてではなくおかずとしてもう一品足したいというときにも便利です。
このレシピは、ココナッツオイルが持つ甘みを活かすために、はちみつの量を通常よりも減らしています。ココナッツオイル以外の油を使う場合は、お好みではちみつの量を調節するようにしてください。
コツを押さえながら大学芋を作ってみよう
大学芋は一度覚えてしまえば誰でも簡単に作ることができる料理です。さらに、ちょっとしたコツをおさえることでより美味しく仕上げることができます。
カリカリの食感にするコツやとろとろのたれを作るコツなど、自分の好みにあわせて取り入れるようにしましょう。コツをマスターして、大学芋とさまざまなアレンジレシピに挑戦しましょう。