●いじめられやすい子どもの特徴は?
1)おとなしい子(気が弱く、反応しない子)
おとなしく反抗しない子は「嫌だ」「やめて」と強く言えません。拒否や拒絶をはっきりと示さないので、加害者側に、いじめを受け入れている(暗黙の了承)と思われることもあります。やがて、「これぐらいならやってもいいだろう」とされ、ますますいじめのターゲットになったり、いじめがエスカレートしがちになります。
2)目立つ子(かわいい・頭がいい・先生のお気に入り・帰国子女など)
女子のいじめに多いのが「異質な存在を排除したい」という心理です。特に、自分より優れていると感じる場合、嫉妬心が生まれ、それがいじめにつながります。自分たちよりかわいいと感じれば「ぶりっ子」、賢ければ「利口ぶって生意気」、先生と仲が良ければ「取り入っている」などと言われ、仲間外れにされやすくなります。
3)対人関係が苦手な子(集団のルールからはずれる。空気が読めない)
マイペース、相手の気持ちを読み取るのが苦手、場の雰囲気がわからないという子は、周りから浮いてしまったり、「変な子」と見られたりします。子ども同士のグループのルールが守れない(理解できない)ので、孤立したり、仲間はずれにされやすくなります。
4)加害者側から見て、弱い劣っていると感じる子
いじめる側の子どもの多くが劣等感を持っていたり、自分がいじめられるかもしれないという怖れを抱いています。そのため、自分がいじめられる前のスケープゴートとして、自分より劣る子(勉強や運動が苦手・太っている・不潔・体が小さいなど)に対していじめたりからかったりします。
5)真面目で内向的な子
真面目で内向的な子は、ちょっとしたからかいの言葉も重大なことのように捉え、悩んでしまいます。周りからみると「暗い子」「重い子」のようにも見られます。自分のちょっとした言動でずっと落ち込まれたり、悩まれたりすると、言った側の子の心には、「私のせいなの?」という罪悪感が生まれますが、いつまでたっても被害者側の態度が変化しないと、やがてその苛立ちは、「いつまでも落ち込んでるあなたが悪い!」と相手を責める気持ちに変化し、いじめへと発展していきます。
それでは、もしも上記の様子がわが子に見られた場合、親は今後の育児において、どう気を付ければいいのだろうか。さらに5箇条を挙げてもらった。
●いじめられない子に育てる5箇条
1)子どもが話しやすい環境を整える
子どもの話をさえぎって親の意見を伝えると、子どもは話を聞いてもらえなかったと感じます。聞いてもらえないと思うと、話しても無駄だから…と自分一人で抱え込みやすくなります。親の意見に従うだけでなく、自分の思いを伝えたり、嫌だと言いやすい雰囲気の中で「自分を表現する」ことを教えてあげましょう。
2)自己肯定感を育てる
子どもの得意なところやいいところを認めて、自己肯定感を育ててあげましょう。自己肯定感とは「自分は大切な存在だ」「自分は愛されている」という思いです。自己肯定感が高い子は、理不尽なことをされたときに、「NO」と言えますが、肯定感が低いと、相手の言いなりになってしまったり、「いじめられる自分が悪い」と思い込みやすくなります。
3)過干渉、過保護にならない
子どものことを心配するあまり過干渉や過保護になると、本来子どもが経験したり、悩んだりして成長する機会を奪ってしまいます。失敗して立ち直る体験や失敗しないように自分で考える経験が子どもをたくましく成長させ、自信を育てるのです。転ばないように先回りするのではなく、チャレンジして失敗したときにどうフォローするか、どう立ち上がらせてあげるかを考え、見守る余裕を持ちましょう。
4)子どもの訴えに誠実に耳を傾ける
子どものちょっとしたケガや失敗を見つけたときに親がオロオロすると、子どもは「親に心配をかけた」「親を困らせた」と感じ、困らせないように、自分一人で抱えようとしてしまいます。困った状態を子どもが伝えてきたら、落ち着いて対応し、伝えてくれたことを褒めたり認めたりして、まずは子どもが「伝えた」勇気を大切にしてあげましょう。
5)社会のルールや相手の気持ちについて教える
守るべきルールを守らないことや、相手の気持ちを考えられないことが「いじめ」の原因になることもあります。家ではよくても学校ではよくないことを理由と合わせて教え、「これをしたら相手がどんな気持ちになるのか?」と想像することの大切さを子どもに教えてあげましょう。
いじめは人格を否定する行為であり、自己肯定感が低い子どもは、自己イメージといじめが直結してしまうので、「自分はいじめられてもしかたない、自分が悪いからだ」と感じやすくなるという。親がしっかりと子の自己肯定感を育めば、自然と“いじめを拒否する心”が育つと、那賀氏は最後に熱く語る。上記の5箇条を日々心に留めておくことこそが、親として、子どもを陰湿ないじめから守ることにつながるのかもしれない。
(取材・文/吉富慶子)