マインドフルネス瞑想の効果や実践方法とは?駿河台大学相馬先生にインタビュー

マインドフルネス瞑想の効果や実践方法とは?駿河台大学相馬先生にインタビュー

マインドフルネス瞑想とは「今に気づきを向けてありのままを受け入れる」ことを重視した瞑想です。皆さんも日常の中に取り入れることで、心にゆとりが生まれるかもしれません。今回はマインドフルネス瞑想の効果や実践方法などについて、駿河台大学の相馬先生にお話を伺いました。

マインドフルネス瞑想とは「今に気づきを向けてありのままを受け入れる」ことを重視した瞑想を指し、精神保健や医療の現場から企業内の社員研修まで、幅広い領域で取り入れられるようになっています。

日本での認知度も高まっており、育児・家事・仕事などのタスクに日々追われている方なども、日常の中に取り入れてみることで心にゆとりが生まれ、日々のストレスとのかかわり方が変化するかもしれません。

そこで今回は、マインドフルネス瞑想の効果や実践方法などについて、駿河台大学の相馬先生にお話を伺いました。

マインドフルネス瞑想とは

アシロ取材班

まずはマインドフルネス瞑想の概要についてお聞かせいただけますでしょうか。 

相馬先生

マインドフルネスをご紹介するときに私は「今起こっていることや、体験していることに対して気づきを向けて、それに対して良い悪いとかの評価はせずに、ありのままを見つめていく心の態度」と伝えています。

 

「今ここに気づきを向けること」と「今ここを受け入れること」という、気づきと受容の2つがマインドフルネス瞑想の中で非常に重要であると言われています。

アシロ取材班

なるほど。そうなんですね。

相馬先生

我々は普段、本当にいろんなことを考えて生活しています。例えば、

・今日の夕飯のメニューをどうしようか

・今週中に終わらせなければならない仕事のスケジュールをどう立てようか

等、様々な事柄について思考を巡らせながら生活しています。

 

また一方で過去のことを考える機会も少なくありません。

例えば、昨日来たメールの返信が必要であったことを思い出したりと、本当にいろんなこと考えています。過去や未来のことばかりを考えてしまうあまり、逆に今ここに集中ができないことが日常生活においてよく起こり得ます。

 

常に考え事に追われた状態で日常生活を送ると、脳が休む暇がないので、ヘトヘトに疲れてしまうことにもなりかねません。

 

お母さんの日常生活を例にしてみると、例えばお子さんが学校から大事なお知らせ、保護者会のお知らせ等のお手紙をもらってきて、それを読まなければいけないという状況は、よく起こりうると思います。

 

その時に、その場で読む必要があるにもかかわらず、読んでいる最中にこの後のタスクリストが頭の中にどんどん浮かんできて、手紙の内容に集中できなくなり、同じところを何度も読み返してしまったり。

結局、最後まで読み終え、内容を理解するまでに余計に時間がかかってしまう場合があります。

 

また、一休みしようとお茶を飲む際にも、一口飲んだ次の瞬間には、勝手にスマホの方に手が伸びて、SNSをチェックしている。そして、ママ友の近況を読んで一喜一憂したりとか。テレビのCMに気がとられて、また違うことを始めてしまったりとか。

結局脳を休ませることが出来ていない、せっかく淹れたお茶の味もわかってないということもままあることでしょう。このような出来事は,日常の中で誰しも経験したことがあると思います。

 

マインドフルネスでは、今ここに受容的な気づきを向け、今ここに存在する自分と繋がる、あるいは自分の周りの大事な人と繋がるということに重きを置いています。

 

そうした心の態度を養うトレーニング方法がマインドフルネス・トレーニングです。

アシロ取材班

確かに、日々の喧騒の中で、「心ここにあらず」の状態で生活されている方は少なくないと思いますね。

相馬先生

心理学の研究でも、変えられない過去を悩み続けたり、不確定な未来についてぐるぐると不安に思ったりする傾向の強さは、心の健康にネガティブな影響を及ぼすと言われています。

 

また「○○しなければいけない」、「○○であるべきだ」といったような、いわゆる「べき思考」を持つ傾向が強い方も、心ここにあらずになりやすいと言われていますね。

 

このような「べき思考」を持つ方の中は、理想と現実のギャップに注目しすぎるあまり、理想通りにいかなかった自分を過度に責めたり、理想通りにならない世の中(社会)を悲観したり、時には、他者を責めたり…こうした心の使い方にはまり込んでしまう方がいます。

 

自分や周囲を責めることに心のエネルギーが奪われて、「今何をしなきゃいけないのか」、「何がしたいのか」という方に、目が向かなくなってしまっている状態ですね。

 

このような心の使い方では、結局脳が疲れるだけ、ネガティブ感情が強まるだけという悪循環に陥ってしまうことが少なくありません。

 

そうならないための、これまでとは異なる心の使い方をトレーニングするうえでも、マインドフルネス瞑想は有効です。

マインドフルネス瞑想の効果

アシロ取材班

実際にマインドフルネス瞑想でいろんな効果があるな、と私自身もすごく実感した経験があります。

マインドフルネス瞑想を行うことで、一般的にはどのような効果が得られるのか教えていただいてもよろしいでしょうか?

相馬先生

マインドフルネス瞑想を日々継続して行うことで、注意の切り替えが上手になる効果があるとされています。過去への後悔の念や未来への不安で頭の中がいっぱいの状態から抜け出して、今やるべきことに集中しやすくなると言われています。

 

また、今に集中できるようになることで、感情コントロール力が身に付くという効果も注目されつつあります。

アシロ取材班

なるほど。感情コントロール力にも直結しているとは、驚きですね。

マインドフルネス瞑想によってなぜ感情コントロール力が身につくのでしょうか?

相馬先生

たとえば、過去のネガティブな出来事を思い出した際に、「あのときああしなければよかった」と後悔の念が生じることがあります。

 

不思議なもので、あるエピソードを思い出すと、それに関する別のエピソードも思い出されることがよくあります。これまでの上手くいかなかったネガティブな出来事が、勝手に、連鎖的に思い出されてしまうんです。

 

そのような状態に陥ると、後悔の念や、抑うつ感情がますます大きくなっていきます。これが、ネガティブな思考や感情に巻き込まれた状態です。

 

日々マインドフルネス瞑想を実践することで、このような状態に陥っている自分自身に客観的に気づくことが出来るようになります。この「気づく」というのが大切です。

「あぁ、今、巻き込まれていたな」と気づくことにより、その状態を手放す機会を得ます。

 

その結果、ネガティブな思考や感情が次々と強まっていくという悪循環を止めることができるというわけです。

 

今ここに注意を戻すことが可能になると、ネガティブな思考や感情の連鎖によって増殖した抑うつ感情や不安感情に巻き込まれずに済むようになります。

アシロ取材班

小さく起こった感情を自分でどんどん広げていかずに、小さい状態のままでネガティブ感情を受け流すことができるというスキルが身に付くのですね。