料理研究家 島本 美由紀さんに聞く「フードロスを防ぐ冷凍保存術」

日本では年間約600万トンものフードロスがあります。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の約1.4倍に相当するそうです。わかりやすく例えると、国民一人あたり、毎日茶わん一杯分(約130g)の食べ物が捨てられているということ。毎日の「もったいない」をなくし、大切な食材をムダなくおいしく食べ切りたい!そこで今回は、料理研究家で、食品ロス削減アドバイザー、冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーとしても活動する島本 美由紀さんに「フードロスを防ぐ冷凍保存術」についてお話を伺いました。

フードロスで最も多いのは野菜

教えてくれたのは…料理研究家:島本 美由紀さん

冷凍、食品保存を中心に幅広い知見を活かし、レシピ開発や、雑誌、TV出演、講演会など幅広く活躍。料理だけにとどまらず、「食品ロス削減アドバイザー」、「冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー」、「防災士(防災食・備蓄アドバイザー)」など多彩な肩書を持つ。

野菜は冷凍保存して最後まで使い切る

島本先生:フードロスとは、食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。フードロスの半数近くは、なんと家庭から出ていて、食材別で見てみると1位が「野菜」です。せっかく購入した野菜をおいしく食べ切るためにも、まとめ買いをしたら新鮮なうちに冷凍保存しましょう。
例えばキャベツや小松菜などの葉野菜は、食べやすく切って生のまま冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、使いたい時に使いたい量だけ取り出して、凍ったまま使えるので便利です。
そして、夏が旬のトマトやなす、ピーマン、パプリカなどの実野菜も冷凍保存向き。食べやすく切って、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、食卓に彩りを添えてくれますよ。室温に5分ほど置いておけば凍ったままでもサクッと切れるので、トマトやピーマンなどは丸ごと冷凍も可能です。
比較的日持ちのしやすい根菜類もぜひ冷凍してみてください。にんじんや大根、ごぼうなど、食べやすい大きさに切って冷凍しておけば、凍ったまま煮物やスープに使え、冷凍することで火の通りも早くなるので時短に繋がります。

きのこ類や薬味も迷わず冷凍保存!

島本先生:個人的におすすめなのが、冷凍することでうまみや栄養価がアップするきのこ類。しめじやえのきは根元を切ってほぐしてから冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、凍ったまま料理に使えます。しいたけも凍ったまま切れるので、丸のまま冷凍するのもおすすめです。
残りがちなにんにくやしょうがは、薄切りや1片ずつなど使いやすい大きさに切って、少量ずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておきましょう。
薄切りなら凍ったまません切りやみじん切りにしたり、1片ずつなら凍ったまますりおろすこともできます。残りがちなねぎやみょうがなどの薬味も、食べやすい大きさに切って、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておけば、解凍せずに冷奴や麺類のトッピングに使えます。
冷凍すれば保存期間は1カ月。どの野菜も生のまま冷凍できるので下準備もかんたんです。ダメにする前にぜひ冷凍を!!

使い切れず、余らせがちな食材も、冷凍保存してムダなく活用

ピザ用チーズの冷凍ポイント

島本先生:ピザトーストやグラタンなどに、さっと使えて便利なのが短冊状にカットされたシュレッドタイプのピザ用チーズ。スライスチーズよりも使い勝手がいいので、常備している人も多いのではないでしょうか? 冷蔵していてもカビやすいので、購入したらすぐに冷凍での保存をおすすめしています。そのまま冷凍すると水分が結露してダマになりやすいのですが、冷凍用保存袋に入れて片栗粉を少量加えて混ぜるだけで、パラパラに冷凍できるんです。目安は1袋のピザ用チーズ(約200~300g)に対して片栗粉小さじ1。取り出したい分だけ取り出せ、片栗粉の違和感なく普段通りに使えますので、ぜひ試してみてください。保存期間は1カ月です。

乾物も冷凍で鮮度をキープ

島本先生:風味や食感が変わりやすいかつおぶしや昆布、焼きのりなども冷凍保存がおすすめです。入っていた袋をクリップなどで閉じ、冷凍用保存袋に入れて冷凍保存すれば、風味や食感がしっかりキープされ、保存期間も2~3カ月ほど。使い切れず、余らせがちな食材も冷凍でムダなく最後まで活用できます!

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