「ワンオペ育児」って、いったい何?

第1回 「ワンオペ育児」から脱出するには?
最近、なにかと耳にする「ワンオペ」という言葉。

「ワンオペ」とは、飲食店などの店舗をひとりでまわしている状態、つまり、「ワンオペレーション」のこと。この言葉がインターネットを中心に広まり、ニュースなどでもとりあげられるようになった。最近ではそこから派生して「ワンオペ育児」なんて言葉もできているそう。

でも、「ワンオペ育児」ってどんなもの? 今増えているの? 家事シェアを推進しているNPO法人tadaima! 代表理事の三木智有さんに聞いた。

「『ワンオペ育児』とは、パートナーの単身赴任や病気など、なんらかの事情によって、ひとりで育児を行うことをいいます。毎日新聞の報道では、単身赴任の家庭は2002年には11万8500人だったところ、2012年には19万4400人と、10年で約8万人増加しているとありました」(三木さん 以下同)

もし夫が単身赴任になったとしても、子育て中は夫の仕事に一緒についていける家庭ばかりじゃない。また、「子どもの学校など、環境を変えたくないから、夫にひとりで行ってもらう」選択肢を選ぶ人も少なくないそう。

「ただ、単身赴任家庭でも、専業主婦の場合にはそれなりに負担はもちろんあるものの、まだ良いのです。大変なのは、ママも仕事を持つ共働き家庭で、ママは自分で仕事もしながら家事・育児をひとりで行う、朝から晩まで休む暇がない場合も多数あるのです」

育児で疲れている女性

●男性の育児参加時間そのものは増えている

一方で、男性の育児参加時間そのものは昔に比べて増えているという。

1991年と2011年を比較した場合、「子どものいる世帯の有業の夫の育児時間」は、20代後半が0.3時間→0.7時間、30代が0.2時間→0.5時間、40代が0.1時間→0.2時間と、すべての世代においてわずかとはいえ、増加していることがわかる(「平成25年版厚生労働白書』より)。

「男性が育児、家事をやるのが当たり前という社会通念に変わってきていること、女性側の大変さが『ワンオペ』という言葉により、可視化されてきたことも背景にあるのではないでしょうか」

ただし、昔に比べて夫の育児参加が増えているとはいえ、諸外国に比べて日本はまだまだ少ないのも事実。

昔に比べると、パパが育児にかかわる時間は増えているものの、共働きが当たり前になっている今、ママたちの負担は減っているとは思えない。

また、パートナーの単身赴任や病気など、やむを得ない事情ではなく、「同居なのに、育児を実質ひとりでやっている」というママたちの不満も、「ワンオペ育児」という言葉ができたことによって、表面化してきているのかも。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

三木智有さん
三木智有
NPO法人tadaima! 代表理事
「ただいま!」と帰りたくなる家庭=家族が協力し合い、創る、居心地のいい家庭を増やすことをビジョンに、2011年にNPO法人tadaima!を発足。家事シェアプロモーション事業など幅広く展開。
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