集中豪雨には雨雲レーダーで備える!高解像度降水ナウキャストと降水短時間予報の違いや使い方を紹介

雨雲レーダーには高解像度降水ナウキャストと降水短時間予報の二つがある

日本では、毎年のように集中豪雨による洪水や土砂災害などが発生しています。近年では、集中豪雨への備えとして、キキクルや線状降水帯予測などの気象情報が盛んに活用されています。

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いろいろある気象情報の中でも、集中豪雨の防災に役立つのは気象庁が運用している「雨雲レーダー」です。気象庁の雨雲レーダーには、突然発生する集中豪雨のように、目先の雨雲の発達をこまかく把握したいときに役立つ「高解像度降水ナウキャスト」、台風や低気圧が接近しているときなど、数時間~半日先の雨雲の発達具合を把握したいときに役立つ「短時間降水予報」があります。

災害のもとになる集中豪雨は、雨雲がもたらします。雨雲レーダーで雨雲の動きを把握することで、豪雨の発生を予測し早めの避難や対策を行うことができます。

本記事では、雨雲レーダーの仕組みや種類、使い方を解説します。

雨雲の予測をおこなう気象情報には、「高解像度降水ナウキャスト」や「短時間降水予報」があります。どちらも雨雲レーダーの一種ですが、性質が異なるため、利用シーンが違います。

高解像度降水ナウキャストは「目先の雨」把握に便利

「高解像度降水ナウキャスト」は、気象レーダーやアメダスの雨量データ、過去1時間程度の降水域の動きなどを利用し、1時間先まで、5分ごとの降水の強さを1km四方で予測する雨雲レーダーです。

過去から現在までの雨雲の動きを把握することができるため、雨が降り出す時間帯や場所などの予測ができます。

高解像度降水ナウキャストは、水平方向に360度回転しているアンテナからマイクロ波と呼ばれる電波を発射し、半径数百kmの広範囲に存在している雨や雪が観測できるシステムです。発射された電波が戻るまでの時間から雨や雪までの距離を、電波の強度から雨や雪の強さを観測します。

電波を利用して雨雲の距離や強度を測るため、山地の影響を受けて実際よりも雨雲が強く表示されたり、弱く表示されたりすることがあります。

また、電波の性質から雪と雨が混在する「みぞれ」の電波を照射しやすい特徴があります。電波が照射されている雨雲部分の気温が0℃前後だと、実際よりも雨雲が強く観測されることもあります。

このように、実際の雨雲の強弱と雨雲レーダーで表示される雨雲の強弱には違いが生じることはあるものの、基本的には高い精度で雨雲の位置や、雨や雪の強さを捉えることができます。


引用:気象庁「高解像度降水ナウキャスト

上記画像は、2023年9月4日の10時30分の高解像度降水ナウキャストです。茨城県に、赤や紫の強い雨雲がかかっていることがわかります。降水ナウキャストを使って1時間後の11時30分の雨雲の予測を見ると、赤や紫の発達した雨雲が北上していることがわかります。


引用:気象庁「高解像度降水ナウキャスト

このように、1時間先までの雨雲の動きを高い精度で予想できるのが高解像度降水ナウキャストです。特に低気圧や台風のように、風が強く雨雲の動きがある程度わかっている気象現象に対して精度は高いですが、反対に風が弱く雨雲の流れがわかりにくい停滞前線や夕立などの気象現象に対しての精度は低くなります。目先の雨の状況や、大雨リスクを把握したいときに便利です。

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