【対談】お米にも、「サードウェーブ」がやって来た!?

小池 理雄(小池精米店三代目店主/五ツ星お米マイスター)×平井 巧(株式会社honshoku代表/東京農業大学非常勤講師)

私たちの暮らしに深く根付いているお米。だからこそ、その良さを見過ごしていることも多いのではないでしょうか。今回は、お米の新しい魅力を発信するイベント「ごはんフェス」の仕掛け人、平井巧さんと小池理雄さんにお米トークをしていただきました。「ごはんフェス」の盛り上がりを通して、今、お二人が感じているお米の「サードウェーブ」とは、どんな波なのか。また、これまでにどんな取り組みをされてきたのかを聞いてみましょう。

お米の「サードウェーブ」、それはごはんの新しい楽しみ方。

小池:いま、お米は約700種類もの銘柄があります。どのお米もおいしくて当たり前。そこから先、各産地が独自性を出すようになり多様化しました。

平井:こんなにたくさんの種類のお米が登場したのは、日本のお米の長い歴史の中で初めてだと思います。僕と小池さんは、日本の主食であるお米を自由に楽しむ時代の到来をお米の「サードウェーブ」と名付けました。

小池:戦後、お米が主食として家庭に浸透したのが「ファーストウェーブ」。生産量が上がり、白いごはんをお腹いっぱい食べたいという願いが叶えられると、次はお米のおいしさを求めて品種改良が進みます。そうして、コシヒカリが全国的に定着したのが「セカンドウェーブ」。そして今、自分の好みに合わせて、お米の銘柄や味わい方を楽しむ時代「サードウェーブ」が来ています。

平井:ファースト、セカンドまでは「用意された楽しみ方」でしたが、サードは「自分から積極的に楽しみ方を探す」時代です。自分流に楽しむという点では、ワインやコーヒーの方が先行していて、お米は遅れてやってきた印象です。僕の会社honshokuは、お米マイスターである小池さんにご協力いただきながら、さまざまな機会を通して、お米の楽しみ方を提案してきました。

お米のファッションショー「ごはんフェス」。

平井:2014年、東京の表参道で第1回「ごはんフェス」を開催しました。企画のきっかけは小池さんとの雑談だったのですが、すでに6年目を迎えました。

小池:私は、生まれも育ちも原宿です。まさかファッションの町、原宿・表参道で、お米が注目される時代が来るなんて、予想もできませんでした。

平井:表参道からお米のトレンドをいち早く発信するという意味で、僕たちは「ごはんフェス」を“お米のファッションショー”と捉えることにしました。あまり知られていないお米の紹介や食べ比べイベント、精米体験などのワークショップ、ごはんをもっと楽しむための食材や調理道具のマルシェなど、様々なアプローチでお米への興味や関心を高めることが、お米の文化を次世代に残していくことにつながると考えて活動しています。

小池:それまでスポットライトを浴びてこなかったお米を、平井さんたちが主役にしてくれたと思っています。「ごはんフェス」に来場していたただいたお客様の楽しそうな笑顔に触れ、私自身、お米の新しい可能性を再確認。情報発信にも力を入れるようになりました。

平井:その後、「ごはんフェス」は埼玉や福岡などでも開催。さらに複数の米どころの団体から「うちでもやりたい」とお声掛けいただくなど、今後も広がりを見せそうです。これからも、お米の新しい楽しみ方が次々と生まれていくと思います。

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