●乳幼児と違い小1の壁は“頑張ればなんとかなる”
「小1の壁は確かに大変ですが、”頑張ればなんとかなる”という当事者の声も多いですよ」
こう語るのは、働く女性のサポートのために活動するキャリアカウンセラーの藤崎葉子さん。それって本当?
「例えば、乳幼児は保育園に行くと頻繁に病気をもらいがちですが、小学生になるとそういった経験はグッと減ります。ですから、保育園の時みたいに不可抗力的に会社を休むリスクはすごく減りますよね」
経験した人なら身に染みると思うが、乳幼児が保育園に通うと、びっくりするほど病気をする。そのたびに会社の同僚に頭を下げる気苦労や、有給休暇を使って会社を休むつらさなど…。これもよく考えてみると、かなりハードな壁だったはずだ。何より、病気はいくらママが努力しても食い止められないのがつらい。
だが小1の壁とされる長期休みのお弁当作りや日々の宿題のフォローは、大変だけど親の頑張り次第で乗り越えられるもの。そこが乳幼児の病気とはちがう点だろう。さらに小1になれば聞き分けがよくなるので、「お母さんはお仕事があるから協力してね」といったいい聞かせも可能となる。もちろん聞き分けのいい子とそうでない子がいると思うが、少なくとも乳幼児よりは意思疎通を図ることが可能だ。
●兼業ママに対する企業の理解は、5年間で進んでいる
とはいえ、乳幼児を育てる苦労とは違った苦労が小学生にあるのも事実だ。会社によっては、子どもが未就学児のときは免除されていた残業も、小学校に入ったら「もう大丈夫でしょ?」と課せられるケースも多いという。しかし、いくら小1だからといって、まだ夜ひとりで留守番をさせるわけにはいかない。
「そういった企業がまだまだ多いのは現状としてあります。でも、ここ2、3年は企業が弊社が実施しているような研修を導入して、上司向けの研修として育児と両立する社員に対しての対応法を指導するケースも増えているんです。やはりしょっちゅう病気をするような赤ちゃんを抱えた社員と、小学生を育てている社員の苦労は全然違いますよね。それを上司が理解していれば、社員はもっと働きやすくなると思いますよ」
藤崎さんによると、こういった育児と仕事の両立がテーマの研修は5年以上前だと「マーケットがなかった」という。つまり、この5年の間に確実に企業の姿勢が変わり始めているのだ。
●2年3年になったら開き直って腹をくくれる
「小1の壁を乗り越えたママさんによると、1年生は大変だけど、2年3年になったら開き直って『やるしかない!』と腹をくくれるそうですよ」
そう語る藤崎さん。まさに母は強し! なのだ。育児の壁は小1ばかりではなく、いくつになっても気苦労がある。しかし年月が経つと、それだけママとしての経験値も上がっているのだ。2年3年で開き直れるのは、そういった自分自身の成長もあるだろう。
そう考えると“小1の壁”という言葉のイメージだけで、あまりネガティブになりすぎる必要はないのかもしれない。今まで乗り越えてきたのなら、今度もきっと乗り越えられる。そう信じて頑張ろう!
(高山 惠+ノオト)